Geo−Kanto2009 開催報告 |
開催日 |
平成21年11月12日(木),11月13日(金) |
開催場所 |
栃木県総合文化センター |
参加者:232名 発表件数:147編 |
支部発表グループ (宇都宮大学)
清木 隆文
1.はじめに
関東支部発表会を平成21年11月12日(木),13日(金)の2日間で,栃木県宇都宮市にある栃木県総合文化センターで栃木グループの協力のもとに開催しました。以下に実施経過を報告します。
2.支部発表会の準備状況の報告
本発表会は,関東支部発表グループの活動のメインイベントであり,その準備は2008年度から始めました。西村友良先生(足利工業大学・関東支部評議員・栃木グループ・リーダー幹事)からの指示を受け,まずGeo-Kanto2009を開催する会場の検討を始めました。宇都宮市内の大学,コミュニティセンターなどを検討の対象としました。会場費などを検討すると,大学などの施設を利用することが望ましかったのですが,残念ながら会期との会場の日程が合いませんでした。結果としてJR宇都宮駅からの交通アクセスの便を考え,栃木県総合文化センターを会場としました。通常栃木県総合文化センターは,イベント開催期日から遡り1年以上前の予約はできませんが,Geo-Kanto 2009が関東地域全域からの参加者が見込めるイベントであることから,会場を予約する許可を特別に頂きました。結果として,平成21年11月12日(木),13日(金)を支部発表会の開催日とし,その前日の11日の夕方を会場設営時間としました。
本支部発表会は,関東支部栃木グループの協力を得て,「特別講演会」と「栃木県内の話題」の一般発表セッションを支部発表会の会期中に開催することを決めました。Geo-Kanto 2009を開催に際して,県内各機関からの協力を頂くために,太田秀樹支部長にご多忙の中、宇都宮まで足を運んでいただき,山内県土整備部長に開催を報告するとともに,協力をお願いしました。2008年度の関東支部発表会(Geo-Kanto 2008)のからの課題が,受付作業の簡素化でしたので,関東支部事務局に参加費の事前振込の手続きの検討と地盤工学会入会希望者の発表会開催前の手続きの周知をお願いし,快く引き受けて頂きました。また,支部発表グループの幹事会から,地盤工学会研究発表会に沿った講演部門の分類が提案されましたので,これを反映させました。栃木グループは,これまで,過去5年間の活動で,毎年講習会を開催していました。2008年に講演会を行っていました。2008年度の講習会の開催を県内の国の出先機関,県の機関に開催の案内に伺う際,Geo-Kanto2009の開催についても説明し,論文投稿への協力をお願いしました。
2009年度に入り,支部発表グループ,栃木グループは本格的にGeo-Kantoの準備を始めました。栃木グループでは,2009年度に栃木グループ主催の講習会を開催する代わりに,Geo-Kanto 2009の開催に全面的な協力をしていただけることになりました。再度,太田秀樹支部長に再度宇都宮までお越しいただき,池田 猛県土整備部長にGeo-Kanto 2009の開催への協力のお願いと会期中に開催する特別講演会の講師をお願いしまたところ,快く引き受けて頂きました。その後,県内の各機関の方に,栃木グループの方からGeo-Kanto 2009の開催への協力と論文の投稿をお願いしました。また,はじめての試みとして,県内各機関でGeo-Kanto2009に論文を投稿して頂いた機関に,限られた狭いスペースですが,各機関の広報のためのスペースを会場に設置することになりました。
写真-1 当日の受付状況 写真-2 一般発表の様子 写真-3 一般発表における質疑応答風景
写真-4 一般発表の会場風景 写真-5 会場廊下の展示ブース
3.支部発表会の開催時
11月11日に前準備を行い,11月12日,13日と支部発表会を開催しました。11日の夜まで降っていた雨も上がり,会期中,例年になく大変暖かく,好天に恵まれました。2日間の発表会で,147編の一般発表論文が19のセッションに分かれて発表されました。また,5つの研究委員会に,DS(ディスカッション・セッション) を開催して下さいました。会期中受付の業務は,事前の手続きに学会事務局に協力して頂いた結果,速やかに手続きが行われました(写真-1)。会期中,関東地域全域から232名もの方々に参加して頂きました(写真-2〜5)。なお,この支部発表会は,「栃木県内の話題」のセッションの聴講者,DSのパネリスト,特別講演会の聴講者の方は,参加費無料としましたので,事務手続き上その数は含まれていません。
「栃木県内の話題」は,2セッションが編成できる18編の論文が県内の様々な機関から集まりました。この2つのセッションは,関東ロームなど地盤工学の話題に限らず,県内の食の回廊,ダム湖の水陸両用車,河川堰の維持管理,山岳の緑化工法など多岐にわたり,他の地盤工学専門分野のセッションにない盛沢山の話題に満ちたセッションとなりました。このセッションを通して,栃木県らしい話題を関東一円から参加者に発信することができました。
特別講演会は,「今どきの県土づくり」と題して,栃木県県土整備部長の池田猛氏によって約1時間行われました(写真-6)。講演では,栃木県の地形,地勢,観光資源などの特徴,県土整備行政,最近の入札契約制度,県土整備部の予算,未来開拓プログラムが紹介されました。県土整備部の主な事業では,昨年8月のゲリラ豪雨による事故以降の県内の防災の取り組みが紹介されました。また,県土整備部の予算規模の推移と関連する事業についても紹介されました。入札契約制度は,低価格受注工事が問題となったが,一般競争入札の拡大で,最近では入札の透明性・競争性の向上が図られた事が報告されました。栃木県の財政改革の取り組み施策として,「とちぎ未来開拓プログラム」が制定され,収入に見合った予算編成を行うとともに,組織体制のスリム化を図ることが紹介されました1)。特別講演会を締めるにあたり,太田支部長から池田部長に地盤工学会関東支部からの感謝状が授与されました(写真-7)。
写真-6 池田県土整備部長の特別講演 写真-7 太田支部長による池田県土整備部長への感謝状の表彰
4.表彰式および意見交換会
表彰式および意見交換会は,栃木県総合文化センターから会場をホテルニューイタヤに移して実施されました。はじめに,各セッションの30歳未満の講演者から選出された優れた講演者に贈られる「Geo-Kanto関東支部発表会優秀発表者賞」の授与式が行われ,赤木寛一副支部長(早稲田大学)から,表彰式に参加された受賞者に,直接賞状が授与されました(写真-8)。
表彰式に引き続いて,意見交換会が西村友良 関東支部評議委員の進行で,開催されました。太田支部長の乾杯発声(写真-9) の後,歓談が行われました。83名の参加者の多くが学生でしたが,大学の枠を超えての学生どうしの交流も行われ,有意義な会となったようでした(写真-10)。意見交換会を締めるにあたり,来年度のGeo-Kantoの開催県である埼玉県を代表して,橘 伸也支部発表グループ兼埼玉県グループ・リーダー幹事(埼玉大学)によって,Geo-Kanto2010の開催案内が行われ,最後に赤木副支部長の中締めで,意見交換会がお開きとなり,参加者は帰途につきました。好天に恵まれた支部発表会も表彰式の頃から崩れ、季節どおりの寒さに包まれ、皆さんとの別れを惜しむような雨模様となりました。支部発表会の会期中好天に恵まれたことにも感謝したいと思います。
写真-8 優秀発表者賞の受賞式 写真-9 太田支部長による意見交換会の乾杯
写真-10 意見交換会の歓談風景
5.おわりに
今回の支部発表会は,無事に大成功のうちに終えることができました。これは,参加者を始め,皆様方のご協力の賜物です。開催に際して,関東支部運営委員会から多くの貴重なご意見を頂き,関東支部事務局には,論文報告集の編集から,事務的な手続きの一切を引き受けて頂きました。また,栃木グループには,県内各機関への論文投稿の働きかけや支部発表会の運営に多大なるご協力を頂きました。この場をお借りしてお礼を申し上げます。最後に,土木学会関東支部栃木会,栃木県地質調査業協会から関東支部発表会の開催に際して後援して頂き,開催に際して多大なるご支援を頂きましたことを申し添えます。会場で参加者に出して頂いたアンケートの結果から,参加者が概ね満足して参加して頂いた様子が伺えました。今年埼玉県で開催されるGeo-Kanto 2010をより良い支部発表会するために,Geo-Kanto 2009から得られた課題を生かして、支部発表グループの活動を展開してゆきたいと思います。
参考文献:1) 日刊建設新聞 栃木全県版 平成21年11月17日 第2面
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◆ディスカッションセッション
DS1 |
関東地域の火山由来地盤の災害事例研究と地域特性に関する研究委員会 |
DS2 |
関東地域における地盤情報データベースの運用と活用検討委員会 |
DS3 |
群杭挙動の実証的研究委員会 |
DS4 |
地盤工学におけるリスクマネージメントに関する研究委員会 |
◆特別講演会 栃木県県土整備部長 池田猛 氏 「今どきの県土づくり」
◆Geo-Kanto2009 優秀発表者賞 受賞者
セッション名 | 論文タイトル | 氏名 | 所属 |
---|---|---|---|
栃木県内の話題(1) | 歩道整備・自転車道の整備に関する一考察 | 小林 正孝 |
栃木県足利土木事務所 |
栃木県内の話題(2) | 日光地区稲荷川山腹工における森林回復度の分析 | 田村 真理 |
国土交通省日光砂防事務所 |
調査・分類 | 平面ひずみ圧縮試験に適用した画像解析システムの精度検証 | 堤 千花 |
東京大学 |
地盤材料(1) | 粒径幅の広い粒状体の間隙比モデル | 上田 高生 |
筑波大学 |
地盤材料(2) | A simple direct shear test to evaluate the field shear strength | Mohsin Usman Qureshi |
東京大学 |
地盤材料(3) | ひずみゲージによる孔底三軸試験装置の高度化に関する検討 | 田中 悠一 |
横浜国立大学大学 |
地盤材料(4) | 溶脱劣化したセメント改良砂の強度および変形係数の低下における養生日数の影響 |
山田 泰影 |
群馬大学大学院 |
地盤材料(5) | 粘性土のサクションと一軸圧縮強度の関係 |
浅井 香那子 |
東京都市大学 |
地盤挙動(1) | 硬質発泡ウレタンを用いた杭状地盤改良工法の開発〜実地盤における現場注入実験〜 |
加藤 雄太 |
東京都市大学 |
地盤挙動(2) | 薬液注入に伴う砂の初期せん断弾性係数の変化 | 高木 雄太 |
東京都市大学 |
地盤と構造物(1) | 杭の引き抜き抵抗力と引き抜き速度の関係についての浸透力を用いた相似模型実験 | 赤秀 康祐 |
中央大学 |
地盤と構造物(2) | 泥土が混在する地山におけるトンネルの施工方法の報告 | 湯浅 芳樹 |
東日本高速道路株式会社 |
地盤防災(1) | マイクロバブル水を用いた室内カラム実験 | 小林 森雄 |
東京都市大学 |
地盤防災(2) | KiK-net 地震記録を用いた表層地盤の鉛直地震動増幅特性の評価 | 江尻 健太 |
中央大学大学院 |
地盤防災(3) | 模型水路を用いた土砂流下実験における損失エネルギーの算出 | 小泉 佳祐 |
中央大学大学院 |
地盤防災(4) | 災害復旧工事における労働災害に関する調査・分析 〜新潟県中越地震・新潟県中越沖地震の傾向について〜 |
野田 昌志 |
東京都市大学 |
地盤防災(5) | 土中のガスの移動特性 | 佐藤 昌 |
早稲田大学 |
地盤環境 | 海面上昇に伴う沿岸域地下水塩水化の数値解析的検討 | 菅野 将人 |
茨城大学大学院 |