第13回 関東支部発表会(GeoKanto2016)の開催報告
関東支部 支部発表会グループ
リーダー幹事 北誥昌樹(東京工業大学)

 第13回関東支部発表会(GeoKanto2016)が,平成28年10月21日(金)に東京都江東区の日本科学未来館において開催されました。今年度は,昨年度と同様に1施設・計5会場にて,昨年の論文数とほぼ同数の142編の一般発表セッションに加え(参考:表1),研究委員会の活動報告が行われ,優れた発表と活発な議論が行われました。
 コードライター交流パネルディスカッションは,第9回の支部発表会からスタートし好評を得ている特別企画であり,今回は“道路土工技術基準”をテーマに企画しました。本企画では、技術制定の背景や今後の実務への影響等について理解を深めて頂けるような議論を行いました。
 一般発表セッションにおいても,学術研究や調査・施工事例などに関する多くの優れた発表がなされました。
 また,発表会終了後には,会場近くのレストランシーガルにて意見交換会を開催し,118名に及ぶ参加者があり,活発な議論や交流の場となりました。
 最後になりますが,発表会の準備実施にあたり前副支部長の菊池喜昭先生をはじめとする多くの関東支部の方々にご指導とご支援を頂きました。そして,支部研究発表会の委員の皆様(表2)の貢献により成功裏に発表会を終えることができました。ここに感謝の意を表したいと思います。
 来年度は、栃木県宇都宮市で開催する予定で,現在準備が進められております。これまで以上の多くの方が参加し、大きく盛り上がるものと期待されます。

     表1.関東支部発表会の開催概要

回数
年度
開催場所
参加者数
論文数
第1回
2004
 東京都文京区(JGS会館)
53
26
第2回
2005
 茨城県水戸市(茨城大学)
86
52
第3回
2006
 神奈川県横浜市(関東学院大学)
205
111
第4回
2007
 群馬県前橋市(県市町村会館)
187
126
第5回
2008
 千葉県船橋市(日本大学)
174
117
第6回
2009
 栃木県宇都宮市(県総合文化センター)
232
147
第7回
2010
 埼玉県さいたま市(大宮ソニックビル)
194
131
第8回
2011
 山梨県甲府市(ぴゅあ総合)
184
132
第9回
2012
 東京都江東区(日本科学未来館)
402
197
第10回
2013
 東京都江東区(日本科学未来館,東京国際交流館)
約310
186
第11回
2014
 東京都江東区(日本科学未来館,東京国際交流館)
約300
170
第12回
2015
 東京都江東区(日本科学未来館)
約300
163
第13回
2016
 東京都江東区(日本科学未来館)
約300
142

    表2.実行委員会委員

副支部長兼
グループリーダー
 北誥昌樹(東工大)
学術部会
 リーダー:高野大樹(港空研)
 石川敬祐(東京電機大)
 野々山栄人(防衛大学校)
 堤彩人(五洋建設)
 森鼻章治(不動テトラ)
総務部会
 リーダー:濱本昌一郎(東大)
 大向直樹(応用地質)
 浅香康弘(鹿島建設)
 山口恵美(関東学院大)
 渡邊保貴(電中研)
 宮下千花(東大)
 青木美智子(地盤工学会)
企画部会
 リーダー:松井秀岳(大成建設)
 兵動太一(東京理科大)
 藤田智弘(土研)
 榎本忠夫(国総研)
県連絡委員
 松島亘志(筑波大)
 後藤聡(山梨大)
 森川嘉之(港空研)
 清木隆文(宇都宮大)
 斎藤健志(埼玉大)
 山中光一(日本大)
 蔡 飛(群馬大)

    

            写真1. 一般発表            写真2. 一般発表

    

            写真3. 研究委員会活動報告       写真4. コードライターパネルディスカッション

第13回 地盤工学会関東支部発表会 優秀発表者賞
防災1
梶原 和博(横浜国立大学大学院)「東北地方太平洋沖地震を対象とした江東区埋立地の液状化沈下マップの整備と精度検証」
 この度は、第13回地盤工学会関東支部発表会において優秀発表者にご選出いただき、誠に光栄に思います。本研究は、東北地方太平洋沖地震で液状化が発生した東京都臨海部を対象に、航空レーザー計測を用いて液状化による地盤沈下量を抽出し、江東区の「液状化沈下マップ」の整備と精度検証を行ったものです。 本研究を行うにあたり、ご指導頂きました横浜国立大学・小長井一男教授、東京大学・清田隆准教授をはじめ、ご支援を賜りました皆様に心よりお礼申し上げます。
防災2
武田 陽(東京電機大学大学院)「地下水位変動に伴う拘束圧の変化が浦安砂の液状化強度に及ぼす影響」
 この度は、GeoKanto2016にて優秀発表者賞に御選出いただき、誠に光栄でございます。本研究は地下水位変動に伴って発生すると考えられる過圧密が砂質土の液状化強度に及ぼす効果に着目したもので、年代効果にも近しい結果が得られた内容となっています。この内容が今後の液状化予測・対策に活かせれば良いと思います。
 最後に、本研究に助力をいただいた関係者および質疑にて貴重なご意見を下さった方々にこの場を用いて感謝申し上げます。
防災3
廣瀬 雅弥(早稲田大学)「吸水ポリマーの浸透注入と改良土の透水性」
 この度は、第13回地盤工学会関東支部発表会において優秀発表者賞を賜り、誠に光栄に思います。本研究は地下掘削の際問題となる山留め壁の地下水流動阻害の対策として、高吸水性ポリマーを地盤に注入し、透水性回復が可能な山留め壁を造成することを目的としています。今後も未来に残せるような成果を出せるよう、研究に邁進いたします。
最後になりますがご指導いただいている赤木教授を始め、AWARD気泡工法研究会の皆様、関係者の皆様には深く感謝いたします。

防災4
木付 拓磨(安藤ハザマ)「深層混合処理工法におけるリアルタイム3D可視化システムの 適用」
 この度は、GeoKanto2016優秀発表者に選出していただき、大変光栄に存じます。本技術は、地盤改良や杭工事の施工中に得られる様々な施工情報をリアルタイムに3次元可視化するシステムです。これより、出来形の確保および高品質な地中構造物の造成が可能になります。また、日報作成やデータ分析も容易なため、施工管理の省力化にもつながります。今後は既成杭への適用を予定しております。最後に、本技術が建設生産システム向上の一助になれば幸甚に存じます。
防災5
仲 祐亮(群馬大学)「遠心場での二種類の給水条件による火山灰斜面の崩壊機構の相違」
 この度は第13回地盤工学会関東支部発表会(GeoKanto2016)におきまして、優秀発表者にご選出いただき、誠にありがとうございます。
 本研究は、2013年に伊豆大島において発生した斜面崩壊のメカニズムを解明することを目的とし、二種類の実験条件のもとで行った遠心模型実験により、崩壊に至った原因について検討致しました。今後も斜面崩壊の原因について正確に把握するため、実験条件を改良するなどの試行を繰り返していきたいと思っております。
 最後になりましたが、ご指導賜りました若井明彦教授をはじめ、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。
防災6
浅野 翔也(鉄道総合技術研究所)「グラウンドアンカーで補強された斜面の動的遠心模型実験およびNewmark法による検証」
 この度は優秀発表者賞にご選出いただき,大変光栄に思います。私が発表した内容は,地震動が作用した際のグラウンドアンカーの抵抗・破壊メカニズムを,遠心模型実験を行って分析し,Newmark法による解析の適用性を検証したものです。実験結果と解析結果の傾向は概ね一致し,更に解析の精度を上げるには,経時変化していくグラウンドアンカーの挙動を再現する必要があることが分かりました。
今後は,FEM解析等を行って上記挙動を再現し,グラウンドアンカーの解析手法を更に深度化させてまいります。
 本研究の発表にあたり,関係者の皆様には貴重なご意見やご助言を頂きました.心より感謝申し上げます。
防災7
藤田 真理子(茨城大学)「平成27年9月関東・東北豪雨における浸水被害後の井戸水水質の継続的調査結果」
 この度は、第13回地盤工学会関東支部発表会優秀発表者賞にご選出いただき、誠にありがとうございます。本研究では、平成27年9月関東・東北豪雨の被害を受けた茨城県常総市における深刻な井戸水の水質悪化について、井戸水水質の経時変化の把握と簡易対策法の提案を目的としています。調査結果から,10ヵ月が経過した現在においても全ての井戸水においてではありませんが一般細菌,大腸菌が存在することが明らかとなりました。今後も継続的に水質調査を行い水質回復メカニズムを明らかにし、簡易かつ効果的な対策法を提案したいと思います。
 最後に、本研究の発表にあたり、ご指導いただいた先生方および研究室の皆様に心より感謝申し上げます。
構造1
橋本 健人(埼玉大学)「産業廃棄物混合材料の地盤工学的性質」
 この度は、第13回地盤工学会関東支部発表会GeoKanto2016におきまして優秀発表者賞にご選出いただき、大変光栄に存じます。本研究は、日本の代表的な産業廃棄物である汚泥、コンクリートがら、及び焼却灰を混合させ、その混合割合が地盤工学的性質に与える影響について明らかにすることを目的として行っております。本研究の検討例は少ないため、今後も研究に邁進していく所存です。
 最後になりましたが、本研究を行うにあたり、指導教員の川本先生をはじめとする先生方、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。
構造2
俊成 優太(東京工業大学)「傾斜した基盤層における杭式深層混合処理地盤の外部安定性に関する遠心実験と解析」
 この度は優秀発表者賞に選ばれたことを誠に光栄に思います。本研究では傾斜した基盤層に着底している杭式改良地盤の盛土荷重作用時の外部安定性について、遠心模型実験とFEM解析により検討しました。結果として外部安定性の検討は実験と解析で整合性がとれず、今後もさらなる精査が必要であると考えられます。今回賞をいただいたことを励みに、より一層研究活動に没頭したいと思います。
 最後に本研究を行うにあたり、指導教授の北詰昌樹教授をはじめ多くの皆様からご支援を賜りましたことにこの場を借りて御礼申し上げます。
構造3
Nguyen Le Trong Nhan(鹿島建設)「大規模開削工事における土留め工の合理化計画および施工実績」
 この度は、第13回地盤工学会関東支部発表会GeoKanto2016優秀発表者賞にご選出いただき、大変光栄に思います。今回は、開削工事における情報化施工を適用した事例について発表しました。仮設土留めの情報化施工を活用し、設計時と施工時の2段階において、コスト縮減・工程促進・施工性向上を図る合理化を実施した事例です。本発表を通じて、今後の情報化施工の普及に少しでも寄与できたら幸いと考えております。
 最後に、本発表にあたり、多くの方々からのご支援とご助言を頂きました。心より感謝を申し上げます。
構造4
黒木 悠輔(鉄道総合技術研究所)「出水により被災した橋りょうの橋脚安定性についての時系列変化」
 この度は第13回地盤工学会関東支部発表会におきまして優秀発表者にご選出いただき大変光栄に思います。今回,過去の出水事例をモデルケースとし河川鉄道橋りょうの橋脚の残存支持力が何に起因してどのように低下していくかを時系列的に確認した結果とともに,鉄道の早期運転再開のための1つの考え方について発表させていただきました。今後も,引き続き鉄道の安全・安定輸送のために研究を深度化していきたいと考えています。
 本発表にあたり関係者の皆さまには貴重なご意見やご助言を頂きました。心より感謝申し上げます。
材料1
重田 恭兵(早稲田大学)「気泡ソイルセメント安定液におけるセメントの分離含水比への影響について」
材料2
平間 勇輝(宇都宮大学)「大谷石の色調変化の原因に関する検討」
 この度は第13回地盤工学会関東支部発表会にて優秀発表者にご選出いただき、大変光栄に思います。本研究では、赤褐色に変化した大谷石表面の還元手法や、新鮮な大谷石表面の色調が環境条件によって、どのように変化するのかを検討しました。今後は、色調変化の原因を明らかにするために、構成鉱物や構成元素を明らかにする分析などを行う予定です。
 最後に、本研究の発表にあたり、ご指導いただいた先生方および研究室の皆様に心より感謝申し上げます。
材料3
萩野 知(東京大学)「初期含水比の異なる泥岩礫質土のクリープ応力下でのスレーキングに伴うせん断変形の進行とせん断剛性率の変化」
 この度は第13回地盤工学会関東支部発表会にて優秀発表者にご選出いただき、大変光栄に思います。本研究では、斜面を構成する泥岩の乾湿繰り返し風化(スレーキング)に伴う劣化機構を検討するために、初期含水比を調整した泥岩礫質試料に対し、三軸異方応力状態下で湿潤過程を与えるという実験を行いました。今回の受賞を励みに、今後さらに実験を積み重ねていきたいと考えております。最後に、ご指導を賜りました清田隆准教授に深く御礼申し上げます。
材料4
Abdullah Rajiv Eldon(東京工業大学)「Properties and compressibility of Pinatubo lahar sand considering particle crushability」
環境1
吉川 友孝(東京理科大学)「製鋼スラグと木くずを混合した材料の地盤工学的特性」
 この度は、第13回地盤工学会関東支部発表会におきまして優秀発表者にご選出いただき誠にありがとうございます。本研究は、製鋼スラグに災害廃棄物である篩下残渣を想定した木くずを混合し、締固めて作製した混合材料を地盤材料として利用するため、三軸圧縮試験を行い、せん断特性についての検討をしたものです。今後は製鋼スラグのエージング処理の有無の影響等についての研究を行っていく予定です。
 最後になりましたが、本研究を発表するにあたり、指導教員である菊池喜昭教授をはじめ関係者の皆様には数々のご指導、ご鞭撻を賜りましたこと、ここに厚く御礼申し上げます。
環境2
篠崎 由梨(早稲田大学)「砂・Ca型ベントナイト混合土における加水・練り混ぜ等試料準備方法および均質性の定量的評価に関する試み」  
 この度は、優秀発表者賞にご選出いただきまして大変光栄に存じます。ベントナイト混合率30%の砂・Ca型ベントナイト混合土を対象として、加水方法や練り混ぜ方法等によって変化する土の粒子構造を評価する試みについて発表いたしました。今後はさらに実験を繰り返して、土の粒子構造と試料製造方法の関係を解明していく所存でございます。
 最後に指導教授の小峯秀雄教授をはじめ多くの皆様からご支援・ご指導を賜りましたことをこの場を借りて御礼申し上げます。
その他
当流谷 啓一(筑波大学)「LROC画像を用いた月面クレーター形状パラメーターの検討」
 この度は、優秀発表者賞にご選出していただき大変光栄に思います。本研究では、NASAが開発したLROCといわれる高解像度カメラで月面クレーター形状のパラメーター解析を行うことで、物性値のピンポイント把握の検討を行いました。今後は、レゴリスの模擬砂に一次元圧縮試験を行うことで物性値の検討を行う予定です。
本研究の発表にあたり、関係者の皆様には貴重なご意見やご助言を頂きました。心より感謝申し上げます。