「(一社)地域国土強靭化研究所 設立5周年記念講演会」開催報告

関東支部 茨城県グループ
幹事 伴 夏男(常磐地下工業(株))

 2025年7月16日、水戸市茨城県産業会館において標記講演会が開催されました。本講演は、(一社)地域国土強靭化研究所(代表理事:安原 一哉 茨城大学名誉教授)の設立5周年記念講演会であり、(公社)地盤工学会関東支部が共催して開催されたものです。オンサイトのみの開催で参加者は37名でした。
 基調講演には太田 秀樹先生(中央大学研究開発機構教授、金沢大学名誉教授、東京工業大学名誉教授)をお招きし、以下の表題にて講演していただきました。
「チャンと調査をしてみたら、チャンと計算してみたら、思ってもいなかった結果が出てしまった事例」
 講演内容は「地盤の破壊関連の事例」として、①破壊予測の基礎となる塑性力学における上下界定理、②斜面崩壊を例としてお話しいただきました。①では地盤強度~すべり破壊の状況についてモール円を用いて解説されましたが、かなり難解なメカニズムをご丁寧にわかり易く説明していただきました。②では海外で撮影された多岐に亘る多くの地層をご紹介され、見えない地層の連続性について「地質屋さん」の重要性を説かれていました。また多くの斜面崩壊現場で実施した、地層の連続性を考慮した破壊シミュレーションの紹介があり、地盤強度把握の重要性をお話しいただきました。
 基調講演後は、安原代表理事をコーディネーターとして、太田先生を含めた以下3名のパネラーを交えたパネルディスカッションが行われました。
  ・国土交通省関東地方整備局 久慈川緊急治水対策河川事務所 吉池 弘晶 副所長
  ・鹿島建設株式会社 技術研究所 山田 岳峰 上席研究員
  ・株式会社地盤試験所 後藤 政昭 顧問
 ディスカッションでは会場からの意見も含めた多くの意見交換があり、締め括りは太田先生の「人生観」もお聞かせいただき、大変意義のある講演会となりました。
 最後に、講演会開催にご尽力いただきました関係者の皆様に御礼申し上げます。

  写真-1 太田先生による講演会風景   写真-2 パネルディスカッション風景