「河川堤防の安定性に関する特別講演会 」開催報告

関東支部 茨城県グループ

 2024年11月14日、水戸市 茨城県産業会館において標記講演会が開催されました。本公演は、(公社)土木学会関東支部茨城会、(公社)地盤工学会関東支部(茨城県グループ)、(一社)地域国土強靭化研究所の共同主催であり、オンサイトのみの開催で参加者は行政の方も含めた54名でした。
 講演は、昨今の激甚降雨に対する河川堤防の安定を目指した以下の2題です。
  ① 浸透・越水に伴う河川堤防の決壊と対策~模型実験による検討~ 名城大学理工学部 小高 猛司 教授
  ② 水産系副産物の貝殻で補強する河川堤防裏法面~環境・防災面に加えCO2の地中貯蔵にも貢献~
   茨城大学工学部 小林 薫 教授
 小高先生のご講演は、小型土層を用いた河川堤防の浸透破壊メカニズムに関する実証実験を主体とするものでした。実験ケースは相当数に及び、この結果と解析シミュレーションの対比、及びドレーン工をはじめとする対策工の検討も含めて多岐に亘り、非常に興味深いものでした。また、小型土層故の相似則を考慮した土層材料の選定等にも苦慮されたとのことでした。
 小林先生のご講演は、廃棄されたホタテ貝殻を利用した堤防裏法面補強に関する実規模大の実証実験の紹介でした。実験では、堤防裏法面に破砕貝殻層を敷設した堤防模型に長時間雨を降らせ、越水時盛土内への浸透抑制・浸食抑制効果の検証が紹介されました。
 2題の講演後は、(一社)地域国土強靭化研究所 顧問の末次忠司先生にもパネラーとしてご参加いただき、同研究所 安原一哉 代表理事がコーディネーターを務め、パネルディスカッションを実施しました。パネラー各位、及び会場参加者からもご意見・質疑等があり、盛況のうちに終了しました。
 閉会の挨拶では、土木学会茨城会会長の小柳武和先生より、ご自身の豪雨災害時冠水のご経験談が紹介され、今後益々河川堤防安定性の技術発展を目指す締めとなりました。
 最後に、講演会開催にご尽力いただきました関係者の皆様に御礼申し上げます。

写真-1 講演会風景 写真-2 パネルディスカッション風景