第2回(独法)水資源機構思川開発事業南摩ダム建設工事見学会 開催報告

関東支部 栃木県グループ
幹事・清木 隆文(宇都宮大学)

 独立行政法人水資源機構では、利根川水系思川の支川南摩川に南摩ダムを建設し、洪水調節とともに、思川支川の黒川、大芦川と南摩ダムを導水路で結び、効率的な水資源開発を行う思川開発事業を進めている。栃木県グループでは、2021年10月の現場見学に引き続き、2022年12月8日(木)の午、水資源機構のご厚意で多種多様な建設現場の集合体であるダム建設現場の中、特にロックフィルタイプのダム堤体の盛立工事と大芦川取水放流工とシールド工法による導水トンネルの建設現場を中心に見学させて頂く機会を頂いた。この度の見学会は、新型コロナウィルスの蔓延防止の対応を十分に行い、関東地域全体から参加者を募り、定員20名のところ17名の参加者を得た。当日は、快晴で暖かい絶好の現場見学日和となった。水資源機構からは大谷調査設計課長をはじめとして、多くの職員の方に丁寧な説明をして頂いた。南摩ダムは、近代的施工方法(薄層転圧工法)を用いた、本格的なコンクリート表面遮水壁型ロックフィルダムとしては国内ではじめてのもので、堤高86.5m、総貯水容量5100万m3の規模で、令和6年度の完成を目指して建設が進められている。現在ダムは玄武岩やチャートなどの岩石による堤体盛り立てが約50%の進捗率に達し、堤体の下流側の盛り立てを先行実施していることから完成時に近いロックフィルダムの様相を示して居た。堤体の上流側には堤体を取り囲み、コンクリート表面遮水壁の台座であり、監査廊となるコンクリート構造物のプリンスの現場打ち施工が進んでおり、堤体の上流側残り半分の盛立およびこのダムの最大の特徴であるコンクリート表面遮水壁を打設する工程が残っていた(写真-1)。ダム本体工事はあと1年半で完了するとのことであった。この事業では、南摩川の水を貯留するだけでなく、黒川、大芦川からも取水・導水し、また、渇水時には南摩ダムの貯留水を黒川、大芦川に放流するために、合計約13kmの水路トンネルで結ぶ工事も進められている。大芦川取水放流工に設けられた立坑内から南摩ダムに向けて施工が進んでいる大芦川導水路トンネルの坑口部を見学する機会を頂いた(写真-2)。導水トンネルは泥水式シールド工法で施工され、そのセグメントは、周辺地山の高い地下水圧を止水するため接合部に特殊な止水ゴムが使われて居た。また取水放流工も見学させて頂いた。ダムを下流から見学させて頂いた際、2重の防音壁を隔てて近くに民家があり、比較的人々の生活に近い現場であることを再認識した。今後の工事の進捗についても興味が尽きない現場であった。

写真-1 ダム堤体建設現場前の集合写真 写真-2 大芦川取水放流工導水トンネル坑口