蔵玉トンネル拡幅工事 現場見学会 開催報告

関東支部 千葉県グループ
リーダー幹事・若月 洋朗(千葉エンジニアリング(株))

 千葉県グループでは、令和4年9月30日に、千葉県県土整備部技術管理課様、同君津土木事務所上総出張所様、飛島建設・伊藤土建JV様の協力を得て、11名参加のもと蔵玉トンネル拡幅工事の現場見学会を開催させて頂きました。
 蔵玉トンネルは、千葉県君津市の内陸部を東西に貫く国道465号の道路トンネルです。本工事は、交通のボトルネック解消のために、トンネル全長152mに渡り断面を拡幅することが目的ですが、施工中は周辺に迂回路がないため、一般車両の通行を許容したままトンネルを掘削して拡幅する「活線施工」という課題に取り組んでいる難工事でした。工事は進行中であり、その状況について工事担当者様から説明を頂き、施工現場を直接見学させて頂きました。
 見学者は、蔵玉トンネル作業所に集合し、14:00より同作業所の会議ブースにて、まず工事全体の説明を受けました。工事は、掘削作業まですでに終了し覆工の施工中とのことでしたが、見学者の興味は「活線施工」の手順や方法などで、この点を工事JVの担当の方々から説明を受けました。活線工事はプロテクターと呼ばれる通行車両の防護施設が必要で、これによって生じた様々な施工上の制約を一つずつクリアしてきたとのことでした。そしてその後、全員でトンネル拡幅の工事現場に移動しました。
 工事現場の北側坑口に到着し、まず現場ヤードの全体を見学させて頂きました。目を引いたのは、やはりトンネル断面の中央に鎮座するプロテクターでした。これは写真-1の左半分に見える青いシートで覆われたもの、および写真-2の左側に見える灰色の箱形の鋼製の構造物です。車両はこの中を片側交互通行で通行させていました。プロテクターは全長158mで、トンネルの拡幅作業の進捗に応じて設置位置を左右および中央にずらす必要があり、その移動に非常に苦心されたとのことでした。移動作業は、午後9時から翌朝5時まで車両を一旦通行止めにする必要があったようですが、限られた時間内に完了させるために、入念な施工計画を検討したと説明がありました。
 工事現場での見学が一通り終了した後、作業所に戻り質疑応答の会を催しました。トンネル掘削時の地質の安定性の評価に関する点や、地域への配慮と環境対策に関する点などの質問があり、質疑が落ち着いたところで今回の現場見学会を終了し解散しました。
 なお、末筆ながら、トンネル拡幅工事の技術的な面を当日ご説明していただくために、都内事務所からお越し頂いた、飛島建設株式会社 土木本部 土木技術部の浅野地質担当部長様に深く御礼申し上げます。

写真-1 施工中のトンネルの中を見学 写真-2 トンネル北側坑口での集合写真