「東日本大震災10周年企画~語り継ぐ 地盤技術者たちの記憶~」開催報告

関東支部 会員サービスグループ
川崎地質株式会社 小林 優起
関東学院大学 山口 恵美

 2021年3月11日をもって、東日本大震災の発生から10年が経過しました。
震災発生後は多くの技術者が調査に向かい、各地の被害の状況を明らかにしていきましたが、当時小学生~大学生であった今の学生や若手技術者の多くは、当時の様子を知らない状況にありました。
 会員サービスグループでは、発生当時の様子や現地の調査状況等を後世に伝えることを目的として、冒頭の講演会を開催いたしました。講演会には、地震発生後すぐに調査に行かれた7名の講師をお招きし、当時利用した調査技術や手法、その工夫点や改善点等についてご講演いただきました。また、講演会の冒頭では、関東支部長 菊池喜昭先生(東京理科大学)より、参加者の皆様へご挨拶をいただきました。なお、本企画は、これまで会員交流の一環として開催してきた「ジオテク語りべ会」の特別企画として開催し、8月中旬から下旬にかけて全3回にわたるシリーズ企画として開催いたしました。

【各回の講師と講演タイトル】

開催日
講師
講演タイトル
第1回 令和3年8月19日 吉田望 先生(関東学院大学 防災・減災・復興学研究所 研究員) 津波に遭遇してからの生活
安田進 先生(東京電機大学 名誉教授) 直後は情報が皆無だった液状化の11日間の調査
第2回 令和3年8月25日 東畑郁生 先生(東京大学 名誉教授・関東学院大学 客員教授) 東日本大震災から10年たって想起すること
佐々木康 先生(広島大学 名誉教授) 地盤被害の初動調査(河川堤防)
第3回 令和3年8月31日 若松加寿江 先生(関東学院大学工学総合研究所 研究員) 東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の悉皆調査
中井正一 先生(千葉大学 名誉教授) 東北地方太平洋沖地震による液状化被害と今後に向けての対策
時松孝次 先生(東京工業大学 名誉教授・(株)東京ソイルリサーチ) 東北地方太平洋沖地震津波による女川の建物転倒被害とその要因分析

 本講演会は新型コロナウイルス感染対策としてZoomミーティングを用いた完全オンライン形式で実施しましたが、第1回:141名、第2回:151名、第3回:145名と、3日間で延べ437名もの方々にご参加いただきました。
 講演後のディスカッションでは、講演内容に関する質疑応答のほか、聴講者からの当時の様子や教訓に関する質問について、講師の先生に答えていただきました。また、講師と当時の調査を共にした方々からは、内輪話も交えながらお話をいただきました。
ジオテク語りべ会は、シリーズとして今後も開催予定です。多くの皆様にご参加いただき、世代を超えた会員同士の交流の場となることを願い、これからも企画していきたいと思います。