1.はじめに
栃木県グループでは,地盤品質判定士による宅地診断のポイントを学ぶ勉強会を「とちぎ男女共同参画センター・パルティ」の研修室で3名の講師をお招きして開催しました.この勉強会は,(一社)栃木県地質調査業協会から共催を,(一社)栃木県建築士会,(一社)栃木県建築士事務所協会,(一社)栃木県建築構造設計事務所協会に後援をして頂き開催しました.参加者は17名でした.
2.話題提供内容
1) 地盤品質判定士に関する紹介 小田部 雄二氏 (地盤品質判定士協議会事務局長,(株)アサノ大成基礎エンジニアリング)
地盤品質判定士の資格を設置する発端となりました2011年東北地方太平洋沖地震から現在に至るまでの設立の流れ,地盤品質判定士協議会の仕組みと最近の試みをご紹介いただきました(写真-1).最近は国土交通省と連携し,地盤品質判定士の資格を総合評価の加点対象に取り入れる動きなど,地盤品質判定士の資格を広く活用する仕組みづくりが進歩しつづけている状況が理解できました.
2) 宅地地盤の品質判定の考え方について 岸田 隆夫氏 (同協議会幹事,元広島工業大学教授)
兵庫県南部地震,2011年東北地方太平洋沖地震などの地震や本年襲来した台風15号,19号,21号に伴う地盤災害について,ご講演をいただきました.戦後から現在に至るまで,地震を主にする自然災害が多く発生し,その被災規模も大きくなっている様子が説明されました.栃木県は,全国的にも災害が少ない県とされていますが,特に台風19号に伴う災害では,かなり酷かったことが再認識されました.今年(2019年)に限らず今後ともこの様な自然災害に伴う宅地地盤災害発生の可能性が伺われました.
3) 宅地地盤の被害および被害事例 大久保 拓郎氏 (同協議会幹事,(株) 環境地質サービス代表)
地盤品質判定士として,行政と協働で実際に宅地の諸問題に対応された3つの事例を説明していただきました.宅地の問題は,地盤に関わる技術的な問題に限らず,隣人との関係や,法律の限界など,教科書通りの対応では行かないことに驚きました.
3.おわりに
この度の勉強会では,地盤品質判定士の資格を活用する試み,また設置された背景と近年の地盤災害,また実際に宅地を判定する際の広い知見が必要であることなど,改めて地盤の品質を判定するための重要さと大変さを話題提供,質疑を通して学ぶ良い機会となりました(写真-2).この勉強会の後,場所をホテルニューイタヤに移して3名の講師の先生を囲んだ意見交換会を行い,地盤品質談義に花を咲かせました.
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