「浅間山火山噴火緊急減災対策現地見学会」開催報告

関東支部 群馬県グループ
群馬県グループ幹事・蔡 飛(群馬大学)

 盤工学会関東支部群馬県グループでは、秩父太平洋セメント株式会社叶山鉱業所のご協力のもと、石灰石を採掘する現場浅間山は、群馬・長野県境に位置する活火山で、山麓は避暑地として古くから開発が進められ、別荘やリゾート施設が分布しています。また、周辺には国道、鉄道(新幹線・在来線)、高速道路などの主要交通網が整備されています。浅間山は有史以来数多くの噴火が記録されており、天明3年(1783年)の大噴火では、火砕流に伴い発生した泥流により山麓のみならず利根川流域に大きな被害をもたらしました。浅間山が噴火した場合、群馬・長野両県のみならず首都圏の経済活動にも甚大な影響を与える恐れがあります。国土交通省では、浅間山の噴火に伴い発生が想定される積雪期の火砕流による融雪型火山泥流や噴火後の土石流に対し下流の被害を軽減するために、砂防堰堤、導流堤、監視・観測機器などを設置しています。また、緊急時に施工する砂防堰堤に使用するコンクリートブロックも多数備蓄されています。
 群馬県グループでは、国土交通省関東地方整備局利根川水系砂防事務所のご厚意で、令和元年9月12日(木)午後に、コンクリートブロックが備蓄されている砂塚ストックヤードや施工中の片蓋川第二砂防堰堤等を見学する機会を頂きました。参加者は、県外からも含め15名でした。見学会には利根川水系砂防事務所の方よりコンクリートブロックを備蓄している砂塚ストックヤードでの備蓄状況や緊急時のコンクリートブロックによる砂防堰堤の施工方法などが説明された。また、片蓋川第二砂防堰堤では、現地発生材を有効活用する砂防ソイルセメントの施工状況やそのトータルコストの縮減が可能などのメリットが説明された。また、火山噴火時に火砕流や土石流の発生が予想される地域でも応急対策工事での作業員安全確保のため、遠隔操縦式建設機械を用いた無人化施工の操作訓練が実施されており、併せて見学しました。
 この度の見学会を通じて、防災対策は普段からの備えの重要性を再認識する良い機会になりました。

写真-1 砂塚ストックヤードを見学する様子 写真-2 片蓋川第二砂防堰堤概要説明の様子