「叶山石灰石採掘現場見学会」開催報告

関東支部 群馬県グループ
群馬県グループ幹事・土倉泰

 地盤工学会関東支部群馬県グループでは、秩父太平洋セメント株式会社叶山鉱業所のご協力のもと、石灰石を採掘する現場の見学会を2019年8月6日に開催しました。受入れ先のご指定があったため限定15名受付の企画とし、参加者15名で実施されました。
 叶山鉱山は群馬県南西部の埼玉県境にある神流町に位置します。この鉱山の創業は1984年です。石灰石は、露天でのベンチカット工法で年間約160万トン採掘されています。平日12:10頃に発破をかけられるそうです。神流川に土砂を落とせないので採掘ベンチの縁の部分に発破はつかえず、当該部はパワースプリッターという重機で割岩していると伺いました。現地の山はもともと1,100mでしたが、その鉱床部分に相当する鉱山の北側部分が東西方向にこれまで高さ250mほど採掘されています。
 採掘された石灰石は、大型重機で立坑へ運搬・投入され、その後に破砕されて、ベルトコンベアー3基により県境を越え埼玉県秩父市の自社工場まで約23キロ運ばれます。3基のうち、14キロ(1周28キロ)のベルコンは日本最長です。そして、秩父市の自社工場では特殊セメント製品等の原料としてつかわれ、太平洋セメント熊谷工場まで秩父鉄道の貨車で運ばれたものは普通セメントの原料となります。
 当日は暑い中、受入れ先でご用意くださった3台の車に分乗し、下から見上げて目を凝らすと重機のたたずんでいるのが何とかわかる程度、たぶん公道からは石灰石の採掘現場があると気づくことはないだろうと思われる山の頂まで、トンネルを通ったあと急な斜面を相当登る経路で連れて行っていただきました。山頂で採掘現場全体を鳥瞰し(写真-1)、その後掘削しているレベルまで下りてきて60トン積み大型ダンプトラックの脇で写真を撮りました(写真-2)。それから、また車に分乗してトンネルに入り14キロのベルコンの出発箇所を案内していただきました。
 山頂にいたときからゴロゴロと雷が鳴りだしましたが、見学中は雨に降られることもなく、出発した事務所へ戻る直前に傘をささないと濡れたくらいで済んだのは幸いでした。石灰石採掘現場では晴れていましたのでよく見渡すことができ、参加者はスケールの大きな現場の見学を堪能しました。お世話くださった関係各位に深く感謝いたします。

写真-1 山頂からみた採掘現場 写真-2 60トン積みダンプの前で記念撮影