地盤工学会関東支部栃木県グループ勉強会及び現場見学会
-ICTの地盤工学への適用前線 - 開催報告

関東支部 栃木県グループ
幹事・清木 隆文(宇都宮大学)

1.はじめに
 平成30年度の地盤工学会関東支部栃木県グループ主催の勉強会および現場見学会は,10月に開催された人工知能(AI)とその地盤工学への応用に関する講演会と一貫したテーマの中で,12月13日に一日かけて開催されました.勉強会は午前中に宇都宮市東活動センターの会議室で,現場見学会は,栃木県真岡土木工事事務所の協力を得て,同日午後に宇都宮の東隣の芳賀町で工事が進められている栃木県五行川遊水池ICT活用建設現場で開催されました.参加者は栃木県内からだけでなく,関東の他地域からも来られており,勉強会22名,現場見学会18名でした.
2.勉強会について 
勉強会では2件の話題提供をしていただきました.
(1) 話題提供1「Iot(センサーネットワーク)とロボット(UAV)が造る新しい土木技術」茨城大学工学部・特命教授・ICTグローカル教育研究センター副センター長 齋藤 修氏:
情報工学のご出身で,土木工学で学位を取得され,現在,防災や地盤環境工学の分野で幅広く研究をされている中から,自作ICタグの防災や環境計測への活用事例,UAVの基本から活用するための心構え,AIを応用した防災の試みなど多岐にわたる内容でした(写真-1).参加者の中から,地震予知へのAIの応用可能性,UAVの活用手順などについて質問が出ました.
(2) 話題提供2「建設土木業界の現状と生産性を向上させる最新技術の紹介」コマツカスタマーサポート(株) 柴山 欣也氏:
限られた短い時間でしたが,2次元で与えられた設計情報を現場で測定した3次元測量データをもとに3次元化し,工程管理から工事実施,出来形の確認まで一貫して実施する流れについて,具体的に動画を適宜用いて紹介して頂きました(写真-2).また,現場の3次元情報の作成,工事について,専門部署からサポートを受けながら実施する様子は,近未来の工事さながらでした.参加者の中から,中小企業でも適用可能なICTについて工事の規模と山岳部や市街地などでのICTの活用可能性などについて質問が出ました.
3.現場見学会について 
道の駅「はが」に昼食後集合し,栃木県真岡土木工事事務所の職員の方に誘導して頂いて現場まで移動しました.現場ではまず工事概要及び,現場で使われているICTの説明をしていただいた後,UAVによる3次元測量の実演,ICTが装備された重機の操作体験,施工管理や出来形の確認実演など,ICTの入門編となる現場の見学をさせていただきました(写真-3).参加者は熱心に説明を聴き,実務に直結した質問を多くして居られました.当日は天気にも恵まれ,心配された寒さもそれほどでもなく幸いでした.
4.おわりに 
本年度の栃木県グループ講演会,勉強会,現場見学会は,AI,ICTに関連したテーマに絞り開催しました.これからの土工などの建設工事の進む方向を学ぶ充実したイベントとなりました

アンケート回答PDF
写真-1  齋藤先生による話題提供

写真-2 柴山氏による話題提供

写真-3  現場見学の様子