「極大地震時における表層地盤の強い非線形現象とその影響に関する研究シンポジウム」開催報告

関東支部 極大地震時における表層地盤の強い
非線形現象とその影響に関する研究委員会
委員長 浅岡顕・副委員長 塩見忠彦・幹事 金田一広

 平成27年度から3年間にわたり「極大地震時における表層地盤の強い非線形現象とその影響に関する研究委員会」を立ち上げ表層地盤の強い非線形問題について検討してきました。委員会発足1年後に熊本地震が発生し2度も震度7の地震が観測され、阿蘇カルデラ内には表層滑りと流動にともなうgraben/horst状の地盤変状、熊本市内には広域の液状化、益城町周辺には横ずれ断層上の表層地盤のRiedelせん断帯など、生々しい地盤変状が発現されました。これらは、あらためて強震時の地盤の非線形現象解明の重要さを実感させるものでした。極大地震時の地盤変状の予測には、地盤性状の精密な調査と入力地震動の適切な想定のもとに、履歴材料としての地盤の状態変化に追随する土骨格の弾塑性理論や、空気~水~土連成の非線形計算力学が強く求められるようになってきています。
 本委員会では、最新の弾塑性力学による地盤変状の解析事例や、工学的基盤に入射する地震波の推定方法など、実務に適用すべき話題を中心に議論してきました。その成果報告として下記のシンポジウムを開催いたしました。本委員会は関東支部のみならず、名古屋や東北からの参加もあり、また、委員会以外からも安田先生や國生先生にご投稿いただきました。前日に台風13号が接近して開催が危ぶまれたにもかかわらず、当日は一転真夏の暑さとなり、その暑い中でも発表者を含め総勢78名もの参加者に集まっていただきました。強震時の地盤の破壊現象や最新の解析手法など参加者とともに活発に議論をすることができました。
 3年間という期間であったため議論する範囲は限られてはいたものの、首都圏直下地震や南海トラフ/北海道東岸沖での海洋型地震など、迫り来る地震に対して地盤力学/工学の役割が高まっている中でよい検討ができたと感じています。このシンポジウムを通してさらに地盤の非線形現象の研究が進むことを大いに期待しています。
 シンポジウム日程
 日時:8月10日(金曜日)9:00~16:30  
 場所:地盤工学会 地下会議室 

写真-1 参加者の概要

写真-2 安田先生のご発表