「ジオ散歩 ~等々力渓谷と多摩川周辺古墳群を巡る~」開催報告

地盤工学会関東支部 会員サービスグループ
リーダー幹事 田中 剛(東京都市大学)

 会員サービスグループでは,歩きながら,見て,知って,学ぶ企画「ジオ散歩」を開催しています。第3回となる今回は「ジオ散歩 ~等々力渓谷と多摩川周辺古墳群を巡る~」と題して,豊かな自然が残る東京都大田区と世田谷区をフィールドに選び, 初夏の風も爽やかな土曜日の午後,19名の参加者とグループ幹事の総勢27名で多摩川沿いの武蔵野台地を散歩し,盛況のうちに終えることができました。
 今回は,東急電鉄多摩川駅をスタート地点に,多摩川台公園内を歩き,多摩川緑地を経由して,等々力渓谷・野毛大塚古墳を散策し,東急電鉄等々力駅へ至るルートを設定しました。多摩川台公園では,大田区立郷土博物館学芸員の斎藤様をお招きし,公園内に設置された古墳展示室や各古墳の前で古墳群の歴史や築造当時の時代背景に加え,発掘調査の方法,副葬品の種類や作り方に至るまで熱心にご教授いただきました。
 散歩した多摩川台古墳群は,5世紀前半から7世紀中頃に築造された国史跡の亀甲山古墳と都史跡の宝菜山古墳の間に築造された8基から構成され,目の前に築造された当時の形のまま残る古墳の姿に,先人たちの土木技術の高さと技術を支える土木技術者の姿に思いを馳せる場所となりました。また,武蔵野台地を浸食して形成された開析谷の等々力渓谷では,台地の基盤である上総層群の高津互層,その上に堆積する渋谷粘土層,武蔵野礫層,武蔵野粘土層,東京軽石層,ローム層の水平堆積構造や渋谷粘土層と武蔵野礫層の間から流れ出る湧水を間近で観察する機会となりました。
 散歩を終え,参加者の方々からは「新たな視点を得ることができた」,「来年も,また別の地域を散歩してみたい」等の声が寄せられました。今回のジオ散歩では,大田区立郷土博物館学芸員の斎藤様をはじめ,多くの皆様にご尽力いただき,充実した内容とすることがきました。紙面を借りまして厚く御礼申し上げます。