第12回ソイルストラクチャーコンテスト開催報告

地盤工学会関東支部 会員サービスグループ
学生幹事 伊藤 友哉   (日本大学)
佐藤 芙美(東京都市大学)
金井 勇介(東京電機大学)

 平成29年12月16日(土)に日本大学理工学部船橋キャンパスにおいて「第12回ソイルストラクチャーコンテスト」を開催いたしました.運営の立場で参加した会員サービスグループの学生幹事が報告いたします..
コンテスト題材~ソイルブリッジ~
 今大会では,昨年のテーマであった液状化対策工法に代わり,地盤材料を締め固めて作るソイルブリッジを題材としたコンテストが行われました.
 ソイルブリッジは,過去にも同大会で耐荷重値の大きさや設計・施工の精度等をコンセプトとしてきましたが,今回はいかに軽くて強く,設計耐荷重どおりのソイルブリッジを作ることができるかを新コンセプトとして行いました.コンテストの評価ポイントとしては,①配合設計時に決めた設計耐荷重と作製したソイルブリッジの実測耐荷重の差分による設計耐荷重の精度,②ソイルブリッ値(実測耐荷重/ソイルブリッジの単位体積重量)の大きさ(値が大きいほどより軽量で高強度なソイルブリッジを表す),③設計アイデアを含むプレゼンテーションの評価,の3点を競いました.また,前回と同様に100円ショップで購入した材料1つ以上3つ以下をソイルブリッジに使用する条件も設けられ,用いる材料のアイデアや設計力などが求められるコンテストとなりました.
コンテストの様子
 今大会では,11チーム(学生9チーム,社会人2チーム)の参加によってコンテストが行われました.コンテストの前半は,用意された5種類の地盤材料(砕石,関東ローム,シークレット材料として珪砂,山砂,カオリン粘土)を用い,ソイルブリッジを作製するための配合条件の設定やソイルブリッジの耐荷重の設計を行いました.配合条件や設計耐荷重を設定するために一軸圧縮試験機の使用が可能でしたが,補強材を含めたソイルブリッジの耐荷重の設計に多くのチームが悪戦苦闘しているように感じられました.
 コンテストの後半は,配合した地盤材料や補強材を用いて締固めによりソイルブリッジの作製が行われ,設計どおりのソイルブリッジが出来上がるよう奮闘されていました.どのチームも順調に作製が進み,会場はランマーや木づちで締め固める音が響きました.今回も斬新な補強材を購入したチームが多くみられ,銅線や菜ばしなど橋の構造の一部として機能を果たすもの,セメントや片栗粉などソイルブリッジの材料として機能を果たすもの等,どのチームも真剣に補強材を選定してきたように感じられました.また,補強材同士を組み合わせて使用したり補強材を編んで加工したり等,ユニークな発想でソイルブリッジを作製したチームもありました..

写真-1 開会のあいさつ

写真-2 一軸圧縮試験の様子

コンテストの結果
 本コンテストは,前述のとおり設計耐荷重の精度,ソイルブリッ値,プレゼンテーションの3項目の得点を競い,各項目の1位と総合得点の上位3位までのチームを表彰しました.前年度に続き今回も学生チームの奮闘した結果が期待されましたが,今回総合優勝に輝いたのは,学生顔負けな工夫を取り入れた(株)不動テトラチームでした.(株)不動テトラチームのソイルブリッジは,ブリッジの破壊形態を考慮して各部分で異なる配合の地盤材料を取り入れ,補強材には長さの調整できる支柱を用い,結束バンドと猫よけで凹凸を持たせるという洗練された技術力を魅せられました.
 総合2位は,優秀なプレゼンテーションと補強材の斬新なアイデアで作製した横浜国立大学Bチーム.総合3位は,3項目すべて5位以内という総合的な好成績を収めた関東学院大学Aチームがそれぞれ受賞されました.また,設計耐荷重の精度部門では,+2.1[N]という驚異的な精度で設計を行った関東学院大学Bチームが受賞されました.上位チーム以外にも優秀なアイデアでソイルブリッジの作製に取り組むチームが数多く見られ,学生チーム,社会人チームともに切磋琢磨し非常に白熱したコンテストになりました.受賞されたみなさん,おめでとうございます!
最後に
 コンテストに参加してくださった関東学院大学,横浜国立大学,東京大学,東京電機大学,東京都市大学,日本大学,(株)不動テトラ,兼松サステック(株)の皆様にこの場をお借りして感謝の意を表します.本コンテストは参加チームの多くの大学と社会人の方や支部長の安田先生,幹事長の峯岸先生をはじめ多くの方々にお越しいただき,今年度も大変盛り上がりました.今回は過去に行ったソイルブリッジを題材として取り入れましたが,コンテストを行うにあたって発想力や設計力など,また新たなソイルブリッジの可能性を発見することができました.今回のコンテストも参加者から楽しいといった声を聞くことができ,参加者のみなさんには真剣かつ楽しみながらソイルブリッジの設計・作製を行っていただけたように感じます.また,コンテスト終了後の懇親会では学生,社会人の壁を越えた交流もあり,大盛況の結果となりました.来年度もソイルストラクチャーコンテストを開催する予定となっておりますので,より多くの方々のご参加を心よりお待ちしております.  

写真-3 ソイルブリッジの作製

写真-4 プレゼンテーションの様子

 
写真-5 ソイルブリッジの載荷  
写真-6 (株)不動テトラチームの補強材 写真-7 総合優勝 (株)不動テトラチーム
<設計耐荷重の精度部門>
順位(賞) チーム名 設計耐荷重の精度(N)
 1(設計耐荷重の精度賞) 関東学院大学B  2.1
 2 関東学院大学A  10.96
 3 横浜国立大学A  12.14
 4 東京都市大学大学A  -12.56
 5 横浜国立大学B  16.3
*設計耐荷重の精度=実測耐荷重(N)-設計耐荷重(N)
<ソイルブリッ値部門>
順位(賞) チーム名 ソイルブリッ値(N/kN/m3)
 1(ソイルブリッ値賞) (株)不動テトラ  19.94
 2 東京電機大学  16.07
 3 兼松サステック(株)  11.59
 4 東京都市大学大学B  3.87
 5 関東学院大学A  3.79
*ソイルブリッ値=実測耐荷重(N)/ソイルブリッジの単位体積重量kN/m3
<プレゼンテーション>
順位(賞)
チーム名
票得点
 1(優秀プレセン賞) 横浜国立大学B  74
 2 (株)不動テトラ  61
 3 東京大学  56
 4 東京電機大学  42
 5 関東学院大学A  28
<総合得点>
順位(賞)
チーム名
総合得点
 1(総合優勝) (株)不動テトラ  78
 2(総合第2位) 横浜国立大学B  72
 3(総合第3位) 関東学院大学A  68
 4 東京電機大学  56
 5 関東学院大学B  52