一般社団法人群馬県建築構造設計事務所協会(GSAS),一般社団法人日本建築構造技術者協会群馬サテライト(JSCA)のご依頼により、標記の演題で講演をしましたので報告します。場所はホテルメトロポリタン高崎(高崎市)、日時は平成29年6月2日(金)15:10~16:45で、84名の建築技術者,官公庁の方々が出席されました。
群馬県Gリーダー幹事の群馬大若井先生から打診があったのは4月10日でした。「そんな大役を引き受けて良いものか」とは思いましたが、ゴールデンウィークを挟んで時間の余裕もあったので、「お役に立てれば」と引き受けさせていただきました。依頼主からの要望は「建築物に影響する活断層や地質・地盤構成,液状化等について、県内外の現状を・・・」で、対象者は地盤に関する知識をある程度お持ちの方です。講演内容は、専門的な内容では諸先生に遠く及びませんので、現場技術者の目線で、身近な場所を題材にお話しすることにしました。
講演は、「群馬県の地質」と「地盤災害」の2部構成としました。前半では、日本周辺のプレート構造から日本列島の大まかな地質構造、群馬県内の地質と構造線へと話しを進め、県内に分布する代表的な地質を見ていただきました。また、かつて学んだ地学や土質を思い出してもらうために、土や岩石の分類についても解説をしました。さらに、県内の活断層について、地形図と写真でその位置を確認しました。後半では、県内及び近県の活断層による内陸型地震について、想定されている最大震度や被害状況を示し、中越地震や東日本大震災時の県内外の被害状況を見ていただきました。また、県内の土砂災害について、地すべり地の分布と地質の関係や、5,000箇所を越える土砂災害特別警戒区域があることを紹介して、机上・現地調査の重要性も説明しました。
1時間半の講演に幅広い内容を詰め込んだため、駆け足となってしまいましたが、身近な場所に地震や土砂災害の危険性が潜んでいることは理解していただけたと思います。記録に残る限り、群馬県内での地震による死者数は1,200年間で僅か6名です。しかし、818年には大地震があり、多くの犠牲者が出たとされています。この史実が示すように、「群馬県は必ずしも安全県ではない」ということを改めて認識していただき、講演を終えました。
最後に、群馬県グループの活動も紹介させていただきました。この講演が、両協会や建築関係の学協会と地盤工学会の連携を深める契機となれば嬉しい限りです。
講演の後、懇親会にお招きいただきました。「毎日活断層を横断して通勤している」参加者もいらして、楽しく意見交換ができたことを追記しておきます。 |