第11回ソイルストラクチャーコンテスト開催報告

地盤工学会関東支部 会員サービスグループ
学生幹事 武田 陽 (東京電機大学) 
佐藤 芙美(東京都市大学) 
伊藤 友哉   (日本大学)

 平成28年11月26日(土)に日本大学理工学部船橋キャンパスにおいて「第11回ソイルストラクチャーコンテスト」を開催いたしました.運営の立場で参加した会員サービスグループの学生幹事が報告いたします.
コンテスト題材~液状化対策~
 第9回,第10回に引き続き液状化対策を題材としたコンテストが行われました.
用意された地盤材料(6号珪砂)に対して各チームが100円ショップで購入した材料2点と,運営側が選んだ3種類の指定材料から「くじ引き」によって選んだ1点を使用して,液状化対策を施した模型を作製し,地震を模擬した加振を3段階で与えて,対策効果(加振後の変位量)とプレゼンテーションの2点を競いました.
コンテストの様子
 今大会は,計11チーム(うち社会人4チーム)によってコンテストが行われました.前年度は対策材料3つを各チームが用意してくるものでしたが,今回はそのうち1つを主催者側が3種類指定することとしました.指定材料はあらかじめ告知されているもののどれになるかは当日までわからないという,チームの経験値やアドリブの思考力が試されるものでしたが,多種多様な使い方でそれぞれ対応していました.
 持ち込みの対策材料はストローやクリアファイル,竹串などを始め,黒飴やパスタ,粉類など前年度よりも斬新な材料も多くみられました.
 対策工法は格子状の構造物を埋設してせん断変形を抑制するチーム,粉状の材料を砂に配合して浸透固化を期待するチーム,その他ユニークな発想の対策法も多くみられ,どのチームも真剣に対策工法を練られているように感じました.
 対策材料の体積検査になかなか通らない等,様々なアクシデントがありましたが,どのチームも臨機応変に対応されていました.

写真-1 模型地盤作製状況

写真-2 コンテスト風景

コンテストの結果
 本コンテストは,住宅模型の変位量による液状化対策効果と参加者の投票によるプレゼンテーションの得点から,優秀対策賞,優秀プレゼン賞および総合得点の上位3位までの表彰を行いました.前年度のコンテストでは社会人チームとの実務経験の差を感じさせられた学生チームでしたが,今年度は闘志に火が付き学生チームも社会人チームと僅差の戦いを繰り広げました.中でも横浜国立大学Aチームは,下敷きとストローを加工して地中壁工法を再現し,最大変位量が驚異の1.0mmという結果を収め総合優勝に輝きました.プレゼンテーションでは,前年度の教訓を生かして磁石とカラーボード,指定材料の吸水マットを工夫し斬新なアイデアで対策を行った横浜国立大学Bチームが断トツの票得点を集め総合3位.社会人チームでは,竹串とゼラチンパウダーを用い,その空袋まで利用するエコな対策で応用地質・基礎地盤・不動テトラJVが総合2位を受賞されました.また,上位3チーム以外にも優秀な対策アイデアが数多く見られ,非常に白熱したコンテストになりました.受賞されたみなさん,おめでとうございます!
最後に
 コンテストに参加してくださった東京大学,東京電機大学,東京都市大学,日本大学,横浜国立大学,三信建設工業(株),兼松サステック(株),(株)不動テトラ,応用地質・基礎地盤・不動テトラJVの皆様にこの場をお借りして感謝の意を表します.本コンテストは多くの大学と社会人の方々に参加していただいたため,今年度も大変盛り上がりました.今年で3度目の開催となる液状化対策ですが,今年度は指定材料を設けたことにより各チームがそれをどう活かすか工夫を凝らすコンテストになったと感じます.コンテスト終了後の懇親会では学生,社会人の壁を越えた交流もあり,大盛況の結果となりました.来年度もソイルストラクチャーコンテストを開催する予定となっておりますので,より多くの方々のご参加を心よりお待ちしております.  

写真-3 加振中の模型地盤

写真-4 プレゼンテーションの様子

 
写真-5 総合優勝横浜国立大学Aチーム  
<液状化対策効果>
順位(賞) チーム名 最大変位量(mm)
 1(優秀対策賞) 横浜国立大学A  1.0
 2 兼松サステック(株)  2.4
 3 応用地質・基礎地盤・不動テトラJV  3.5
 4 三信建設工業(株)技術本部  3.5
 5 日本大学理工学部土木工学科  6.5
<プレゼンテーション>
順位(賞)
チーム名
票得点
 1(優秀プレセン賞) 横浜国立大学B  85
 2 応用地質・基礎地盤・不動テトラJV  46
 3 東京大学土質・地盤研究室  34
 4 (株)不動テトラ  32
 5 横浜国立大学A  28
<総合得点>
順位(賞)
チーム名
総合得点
 1(総合優勝) 横浜国立大学A  55*
 2(総合第2位) 応用地質・基礎地盤・不動テトラJV  55*
 3(総合第3位) 横浜国立大学B  50
 4 兼松サステック(株)  38
 5 (株)不動テトラ  28
*総合点が同点となった場合、対策効果の順位が高いチームを優先するルールに基づく