千葉県富津市の地すべり防止区域及び天羽トンネル施工現場の見学会 開催報告

関東支部 千葉県グループ
リーダー幹事・若月 洋朗

 千葉県グループでは、平成28年度の現場見学会を千葉県君津土木事務所と東日本高速道路株式会社関東支社木更津工事事務所の協力を得て、千葉県富津市内に所在する2つの工事現場(「1.上畑地すべり防止区域の地下水排除工」、「2.天羽トンネル工事(Ⅱ期線)のトンネル掘削施工」)を見学させて頂きました。当日は、16名のご参加を頂き、無事終了しました。
1.上畑地すべり防止区域の地下水排除工の現場見学
見学者は、JR蘇我駅に集合後、バスにて千葉県富津市の地すべり区域の現場に向かいました。現場では、千葉県君津土木事務所天羽出張所の徳留出張所長・綾部技師から、当該地域の地すべり対策事業への取組みの内容について説明を受けました。今回見学させて頂いた上畑地すべり防止区域は、保全対象として人家11戸、国道127号通行止時の迂回路となる二次緊急輸送路を含む地すべり防止区域とのことで、梅雨・台風・近年の異常豪雨によって地すべり活動が活発化し、道路擁壁の亀裂、道路の沈下などが発生し、早急な対策が必要になったとのことでした。対策としては、地盤の変動を抑制するために横ボーリングにより地下水排除工を設置しており、対策後の現地状況を視察させて頂きました。また、対策後の動態観測による確認で、道路表面に発生していた亀裂や沈下が治まってきたとのことですが、地盤の安定度を示すすべり安全率の数値を更に下げるために、アンカー工などの抑止工による対処も視野に入れて、今後も経過観察を続けていく、とのことでした。

写真1:地すべり対策工の現地視察状況

写真2:天羽トンネル施工現場での集合写真

 2.天羽トンネル工事(Ⅱ期線)のトンネル掘削施工の現場見学
 地すべり防止区域の現場見学後、バスにて天羽トンネル施工現場に向かいました。はじめに東日本高速道路㈱木更津工事事務所の牛田工務課長より、当該工事の概要と技術的特徴等について説明を受けました。当該トンネルは全長1271mでNATM工法が採用され、現時点ではほぼ50%の掘削が進んでおり、平成30年の開通を目標に施工を進めているとのことでした。また、工事の特徴としては、地山の状態に応じたロックボルト・H鋼・覆工コンクリートの断面の設定方法や、環境対策の一貫として掘削土砂の搬出にベルトコンベアを用いたこと、坑口付近の防音等の対策施設の設置など、今まで培われたトンネル施工の知識・知見を踏まえた、安全性・施工性を向上させる様々な工夫を知ることが出来ました。
その後、施工現場の見学となり、施工中のトンネル内に立入らせて頂きました。当日のトンネル内の施工状況は、切羽の掘削・覆工施工・トンネルインバート施工等、ほぼすべての工種が実施されていたとのことで、安全上差支えない範囲で、多くの施工状況を見させて頂くことができました。施工重機やダンプトラックが行き交う中でしたが、安全に配慮した引率により、施工現場の直近で生の施工状況を見させて頂くことができ、大変貴重な体験になったと思われます。  
 以上で2箇所の現場見学を終え、JR蘇我駅に移動後、今回の現場見学会を終了し、解散しました。