国際講演会「The Influence of Tunnelling on Piled Foundations」開催報告

関東支部 企画総務グループ
幹事 高柳 剛

 平成27年12月11日(金)17:00~18:45,地盤工学会(JGS会館)地下大会議室において,英国ケンブリッジ大学土木工学科長Robert Mair教授をお招きしまして,国際講演会「The Influence of Tunnelling on Piled Foundations」を,地盤工学会関東支部企画総務グループ主催で開催しました.さらに本講演会では,Mair教授と古くからのご友人でもある,茨城工業高等専門学校(元地盤工学会会長)日下部校長をお招きいたしました.講演会のプログラムとしては,17:00に講演会の開会し,冒頭に日下部先生からMair教授の経歴についてご紹介を頂いた後,Mair教授より1時間ほどご講演頂き,さらに日下部先生より20分ほどご講演を頂きました.本講演会には地盤工学会関東支部メーリングリストによる広報などを通じまして,合計28名の方々にご参加頂きました.
 ご講演いただいたRobert Mair教授は軟弱地盤中トンネルの分野で世界的な権威として知られており,ケンブリッジ大学で教鞭をとられる前には民間の技術コンサルティング会社でご活躍されるなど実務経験も大変豊富で,本講演会でも優れた理論と豊富な実務経験に裏付けられた大変興味深いご講演を頂きました.具体的なご講演内容としましては,近年の都市部におけるトンネルプロジェクトでは都市トンネルが構造物の杭基礎に近接する状況で施工しなければならない機会が増えてきており,このような都市トンネルの施工が杭基礎の沈下または杭基礎の応力状態の変化に与える影響等に関して,遠心模型実験装置や応力変形解析手法を用いて検証した最新の研究成果をご紹介頂きました.さらに,実際の都市トンネルの施工に伴って地上側にどのような影響が発生したか,ロンドンにおけるヨーロッパでも有数の大規模地下鉄プロジェクトである「Crossrail project」における事例を交えて観測結果をご紹介いただくなど,大変貴重なお話をお伺いすることが出来ました.
 また日下部先生は,昨今の横浜のマンションの傾斜問題が世間の関心を集めている中で,いち早く地盤の品質管理の問題について警鐘を鳴らされ,地盤品質鑑定士の制度創設にご尽力いただいた第一人者でもございますが,本講演会では多発する自然災害に対しての防災・減災投資の優先順位に参考となる自然災害安全性指標(GNS)の開発の現状とその活用方法についてご紹介いただきました.
 ご講演の後,残りの時間はご参加いただいた方々とディスカッションがなされ,最後に,石原先生よりMair教授に感謝状をお送りし,閉会となりました.
 この講演会を開催するにあたり,ご協力いただいた皆様に感謝を申し上げます.

写真-1 Mair教授(右)への感謝状贈呈の様子 写真-2 講演される日下部先生