公益社団法人日本アイソトープ協会は、地盤工学会のある文京区千石の近くにあり、敷地内で行われた防災訓練・避難訓練に引き続き座学での防災講演が計画されていた。同協会では、最近の地盤事故の話題に関連して地盤や宅地の安全・あんしんに関する話題が適切と判断され、ちょうど近くにある地盤工学会に出前講義を依頼された。その内容から関東支部では「地盤リスクと法・訴訟等の社会システムに関する事例研究委員会」に打診があり、今回の出前講義を委員会として実施することになりました。その開催内容を報告します。
タイトルは、「地盤リスクと宅地に安全」です。開催は、平成27年12月7日14:00-15:30で、20人程度の職員が参加していただきました。内容は、人数も少なかったので、地盤防災の話をQ&A方式で行い、参加者に次々と質問し、答えてもらうことで、地盤の知識を理解し自分たちの住んでいる宅地の安全性を確認していただくようにしました。
まず、地盤リスクを知るためには、地形・地質をよく知る必要があり、その上で目に見えない地盤内部のリスクを想像することを学んでいただきました。その延長線沿いで地盤を強くする方法や地盤事故をなくす考え方や技術の説明をしました。女性職員に方は、主婦目線での答え方が多かったのですが、技術系の職員の方は、地盤のことをある程度理解していただいたように思います。日本アイソトープ協会は目に見えない放射線を扱っていますので、同じく目に見えない地盤の理解の早かったかもしれません。講義後、技術系の用地が川崎市の臨海部に移転するという話になり、移転先の地盤リスクについて意見交換・アドバイスをいたしました。私個人にとっても大変有意義で、勉強になる講義でした。今後も時間がある限り、地盤工学会の広報も兼ねてこのような出前講義を積極的にやっていこうと思います。
なお、公益社団法人日本アイソトープ協会は、明治8年に建てられた三菱財閥の建物内にあり、地下には造船の研究用の水槽があるとのことです。大正6年、理化学研究所設立時の用地になり、大正12年関東大震災も無傷で乗り越えた由緒ある建造物で、その後同協会が入りました。現在同協会の利用している建物は理化学研究所当時の23号棟をそのまま使っています。講義室も理化学研究所で利用されていたもので大変光栄でした。また、会場の隣は、大正11年に設立された内務省土木試験所(昭和23年建設省土木研究所に改名)があったところで、地盤工学会とは関係が深い場所柄であったことも追記しておきます。
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