「大いなる神奈川の地盤 ~その生い立ちと街づくり~」
野外巡検「神奈川最古の地盤と丹沢の衝突」開催報告

関東支部 神奈川県グループ

 平成22年10月に出版しました「大いなる神奈川の地盤 ~その生い立ちと街づくり~」を体感する企画として,11月28日(土)に野外巡検「神奈川最古の地盤と丹沢の衝突」を開催しました。神奈川県西部から山梨県にかけての地域は,日本列島周辺でひしめき合う4つのプレートのうち3つのプレートの境界に位置し,現在活動中の火山列島同士の衝突が進行中という,世界的に見ても珍しく地質学的に重要な場所です。今回は,相模原市立博物館の河尻清和様を講師にお迎えし,これらプレートの活動で形成された地質・地層を観察しました。
 当日は相模湖駅からバスに乗車し,午前中は神奈川県最古の地盤である小仏層群や,約200mの幅を持つ藤野木-愛川構造線の断層破砕帯などを観察しました。相模湖公園で昼食をとった後,午後は愛川層群石老山層の礫岩に見られるインブリケーション(扁平な礫や細長い礫が堆積時に一定方向に配列する構造)や,相模湖層群瀬戸層の褶曲した砂岩頁岩互層,変形作用によって垂直に立った丹沢層群大沢層の凝灰岩等を観察しました。
 各見学箇所では,参加者の方から多数の質疑が寄せられ,講師との活発な議論が交わされるなど,参加された皆様の地形や地質に関する関心の高さが伺えました。また,当日は天気にも恵まれ,解散時には次回開催を期待する声を多数お寄せいただくなど,盛況のうちに終えることが出来ました。
 今年で神奈川県グループによる野外巡検も5回目となり、申し込み開始から数日で定員に達するほどの人気企画となりました。引き続き,「大いなる神奈川の地盤」を直接学ぶ機会を提供して参りたいと思います。

写真1 小仏層群観察状況 写真2 愛川層群観察状況
写真3 丹沢層群観察状況 写真4 集合写真