出前講座:北区立赤羽岩淵中学校 学校ファミリー防災講演会
『地盤災害の特徴と対策』

和田(工藤)里絵 応用地質株式会社

 登壇の直前、龍岡先生はつぶやきました。「国際会議より緊張する・・・」。
 確かに、今回の出前講座は講師にとって大変やりづらい類のものだったと思います。何故なら、小中学校の教員と保護者という幅広い知識層を対象とした防災講演会でしたから。
 2015年8月27日、赤羽岩淵中学校(東京都北区)にて龍岡文夫先生(東京理科大学)と王寺秀介氏(中央開発株式会社)を講師とした防災講演会が開催されました。この催しは、赤羽岩淵地区で連携している5つの小中学校が、教員と保護者を対象に毎年開催しているものです。地盤工学会には、2012年に出前授業を行った王子小学校の元校長先生を介して依頼がありました。参加者は約100名です。地盤工学会からは、龍岡先生と王寺さん、事務局の青木美智子さん、和田の4名が参加しました。
 まず、龍岡先生が「地盤災害の特徴と対策」と題して約1時間半の講演をなさいました。内容は、(1)地盤の成り立ち、(2)地盤災害、(3)地盤災害の対策 の3部構成で、166枚のスライドを使っての密度の濃い講演でした。事前にスライドを拝見した折は、このような難しい内容を文系出身の先生達が理解できるかしらと不安に思っていましたが、全くの杞憂に終わりました。龍岡先生は平易な言葉でわかりやすくお話になり、参加した方々はうなずいたりメモを取ったり、熱心に聞いておりました。先生が伝えたかったであろう、正確な知識の重要性や、地盤災害の課題と対応はNever ending storyであるということは、聴衆の心にもきっと届いたと思います。
 王寺さんは「お住まいの地盤を確認する方法」と題して、書籍「新・関東の地盤」を紹介するとともに、インターネットで公開されている地盤情報をもとに地盤を調べる方法について説明なさいました。自分が住んでいる場所の安全性については誰もが興味のあるところです。王寺さんの明朗な説明に聴衆は身を乗り出して聞き入っておりました。
個人的には、一つだけ失敗したことがあります。お二人の講演をビデオ撮影すれば良かったとあとで気づきました。講演内容は、一般市民だけではなく地盤工学を元々の専門としない技術者にも参考になるものでしたので、会員が参照できるようアーカイブ化すべきだったと後悔しています。
 最後に、龍岡先生の気の重さとは裏腹に、出前講座は大成功だったと感じています。龍岡先生、王寺さん、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。北区民としてお礼申し上げます。

写真-1熱弁をふるう龍岡先生 写真-2「新・関東の地盤」を紹介する王寺さん