関東支部地域活動グループ・茨城県グループでは、(公社)土木学会関東支部茨城会、茨城県地質調査業協会の協賛をいただきながら、毎年恒例の催しとして、県内の研究機関を見学する「研究所めぐり」を主催しています。第9回目の今回は、関東支部10周年祈念事業の一環として、茨城県つくば市の国土交通省国土技術政策総合研究所および(独)土木研究所にて、講演会および見学会を開催しました。開催日の平成26年12月2日(火)は晴天に恵まれ、計43名の参加者が午前中(10:00-12:15)の講演会、午後(13:15-16:30)の見学会に参加しました。
講演会「これからの日本と地盤工学を考える」では、元地盤工学会会長の太田秀樹中央大学教授に基調講演「地盤工学と地方活性化」をしていただき、その後、パネルディスカッションとして、国土技術政策総合研究所研究官の小林英之様に「これからの日本:私はどこに住んだら良いか?」、筑波大学の岡本直久准教授に「これからの日本の国土計画・交通計画」、そして土木研究所研究調整監の塚田幸広様に「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)について」というタイトルで話題提供をいただきました。
太田先生の基調講演は、補強土壁という地盤工学技術を使って地方を活性化したい、という将来の国土計画や国民生活にも関わるお話で、先生のつくばのご自宅での取り組みなども紹介していただき、とても興味深いものでした。特に「機械・電気電子・化学・建築は文明の利器を作る。土木工学は人間生活そのものを格納する器(基盤)を作る。」という言葉は、土木技術者・地盤工学者の在り方の土台となる、大切な言葉だと感じました。
パネルディスカッションでは、まず小林様から、建築の立場からの国土と住宅の将来の在り方について、地球温暖化などの影響も含めてお話をいただき、岡本先生からは我が国の国土計画・交通計画の全体像をわかりやすくご解説いただき、塚田様からは、我が国の社会資本の現状と課題、そして内閣府主導で今年度から走り出した戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のうち、土木研究所が重要な役割を担っている「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」および「レジリエントな防災・減災機能の強化」についてのご解説をいただきました。
参加者からは、高齢者も住みやすい地方の社会資本の在り方や、きちんと作れば劣化に強い地盤構造物の特性について、土木行政と農業行政との連携の必要性など、非常に幅広い質問が出され、普段の研究発表会などとは異なるテーマについての活発な議論がなされました。
午後の見学会では、水理実験施設、海洋沿岸実験施設、構造力学実験施設(輪荷重走行試験機)、振動実験施設(3次元大型振動台)、試験走路、大型遠心力載荷試験装置、盛土実験棟などを見学しました。国総研・土研ならではの大規模な施設に参加者も興味津々で、担当者の解説に耳を傾け、様々な質問をしていました。
最後に、見学会を快く受け入れていただき、運営にご尽力くださいました国総研・土研の関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。
文責:松島(筑波大)
|