「米海軍横須賀基地内イベント“アースデー環境フェア2014”への出展報告」

地盤工学会関東支部
江戸期以降の土木史跡の地盤工学的
分析評価に関する研究委員会
藤井幸泰

1.はじめに
 平成23年度から継続する「江戸期以降の土木史跡の地盤工学的分析・評価に関する研究委員会(土木史跡委員会)」は3年の活動期間を終え,本年度は広報委員会として活動している(委員会活動については,地盤工学会関東支部ニューズレターNo.29や地盤工学会誌Vo.61 No.5やVo.62 No.4に報告あり).この委員会が研究対象としてきた施設の一つに,横須賀製鉄所ドライドックがある.このドック調査時には,米海軍横須賀基地の施設部環境課にいつもお世話になっている.そんなご縁から昨年に引き続き,4月29日(火・祝)に‘アースデー’環境フェアというイベントへ出展する機会を得た.当研究委員会からは委員長の正垣先生(防衛大学校)と委員の菊地様(横須賀市自然・人文博物館)と著者(深田地質研究所)の3名が参加し,土木史跡委員会やドライドックの調査成果,地盤工学に関するピーアールを行った.
2. アースデーのイベント“環境フェア”
 施設部環境課が行うイベントで,本年で7年目を迎えると聞いている.昨年からは環境フェアとして行われており,場所は横須賀基地内のスーパー前のイベント会場にテントを張り,10~14時まで行われた(写真-1).外部からの参加は我々の委員会だけでなく,生態系などの研究や保護活動に関わる横須賀周辺の団体の参加もあった.ただし昨年に比べると参加団体がやや少なく,勢いが少なかったせいか,訪問者も少なめに感じた.
3. 研究委員会による出展内容
 昨年展示した土木史跡委員会の成果概要と,ドック1号の経年変化に関するパネルだけでは物足りないと感じ,ドック裏込め材の化学分析結果や,塩類風化に関連した侵食量測定の成果についてもパネルにして展示を行った(地盤工学会誌,Vol.62 No.4記事など).さらに昨年に引き続きピサの斜塔の地盤に関する展示や,液状化や斜面崩壊に関連したミニ実験装置を設置し,訪問者に体験してもらった.
 パワーアップした液状化のミニ実験装置は,ペットボトルに標準砂と水を利用した簡易な器具であるが,ピンポン球を土管にみたてたり,建物模型を利用することで大変な効果を発揮し,老若男女に好評であった(写真-2).また層面すべりの模型実験も迫力があり,ちょうど基地内でみられる更新世の堆積物も傾斜しており,理解しやすかったようである.さらにピサの斜塔の修復工事に貢献した地盤工学の展示や説明も,大人の方を中心に好評であった.本年は小学生の参加は無かったが,高校生がEnvironmental Scienceの授業で,先生に引率されて来た.液状化のミニ実験にも大変興味を持ってくれたが,彼らは授業の一環で参加しており,いくつかの課題を与えられていた.課題の内容に関して質問も受け,「1.ドライドックとは何か?」「2.いつから使用開始されたのか?」といった基本的な質問に加え,「3.ドックで今現在起きている地質的現象は何か?」「4.ドックに関わる地質的要因を4つ記載せよ」など,なかなか難しい課題もみられた.アメリカの科学(理科)授業は総合的な内容で学習する,というような話を小耳に挟んでいたが,その一端に触れられた気がした.
 環境フェアの開催中に,基地内のテレビ報道が取材に来ていた.当委員会の出展内容について説明して欲しいとの要請を受け,正垣先生がインタヴューを受けておられた(写真-3).基地内のみの放送とのことですが,結構観られているとのことである.
4. おわりに
 当日は祝日であったが,米軍基地内はアメリカ本土と同じ平日扱いであった.横須賀基地内には小・中・高,さらには大学までもが存在する.レストランなども多数存在し,イベント終了後は委員会関係者でアメリカ料理などを堪能することができた.なお横須賀基地は,通常は部外者の立ち入りが禁じられている.
 最後になりましたが,このイベントへの参加機会を与えて下さった,米海軍横須賀基地の施設部環境課にお礼を申し上げる.