「東京外かく環状道路千葉県区間 工事現場見学会」開催報告

地盤工学会関東支部 千葉県グループ
幹事 若月洋朗

 千葉県グループでは、東日本高速道路㈱関東支社千葉工事事務所の協力のもと、平成25年8月7日(水)に東京外かく環状道路千葉県区間の現場見学会を開催しました。参加者は定員を超える33名でした。
 東京外かく環状道路(通称:外環)は、都心から半径約15kmの地域を環状に結ぶ全長約85kmの道路で、現在大泉JCTから三郷南ICまでの約34kmが供用されており、千葉県区間においては、松戸市小山から市川市高谷までの全長12.1kmについて、平成27年度の開通を目標に事業が進行中です。工事は、松戸市・市川市全域にわたり、千葉県区間のほとんどが半地下の「掘割部」のため、山留壁と地盤の安定問題・周辺地下水への影響・様々な環境保全対策など、地盤工学と密接な関わりがあり、地盤工学の技術者にとっては非常に興味深い工事現場と言えます。
 今回の見学会では「京葉ジャンクション(仮称)工事」、「JR総武本線交差部工事」、「国分掘割試験工事地区」の様子などを見学しました。当日は、30℃を越える真夏日にも関わらず、募集人員を越える多数の参加があり、施工が最盛期に向かいつつある首都圏内の大規模プロジェクトの注目度の高さが伺えました。
 見学会は、まず外環大和田相談所にて、工事全体の進捗状況と今回の見学場所の工事概要について説明を受けました(写真-1)。そして、バスで「京葉ジャンクション(仮称)工事」の現場へ向かいました。当日は、ヤード内に建設された工事車両専用の工事用道路と工事用仮橋を特別に使用させていただき、全線を移動することとなりました。
京葉ジャンクション(仮称)工事は、京葉ジャンクションの地下構造物の建設に伴い、京葉道路を迂回させての工事となっていましたが、一部完了したため京葉道路上り線(東京方面)を元の京葉道路の位置に戻して、その後の工事が進められているとのことでした(写真-2)。バスを降りて徒歩にて工事ヤードと京葉道路を一望できる場所へ移動しての見学を行い(写真-3)、その後バスに乗り「JR総武本線交差部工事」の現場へ移動しました。
 JR総武本線交差部工事は、JR総武本線の高架構造物の杭基礎を、新設する外環のケーソンに受替する特殊な工事(図-1)を実施しており、ケーソンへの受替施工の途中の状況を見学しました。初めに、工事概要と進捗状況の説明を現場にて受け、JR線下部の施工状況を見ることができました。
 次に、「国分掘割試験工事地区」へ移動し、ニューマチックケーソン工法と開削工法の比較検討のための試験施工について説明を受けました。ここでは、試験施工の説明に加え、試験函体内部を見学しました(写真-4,5)。試験施工の目的は、高速道路部の本格的な工事に先立ち、安全かつ品質の高い工事を実現するための施工ノウハウの蓄積・コスト比較のためのデータ取得とのことで、試験函体自体は、平成21年8月に舗装等を除き概成しているとのことです。試験函体内部の見学により、ニューマチックケーソン工法施工部分と開削工法施工部分の施工状態の違いを確認することができました。
 今回は、天候に恵まれ、現場がフル稼働している作業状況を間近で見学することでき、参加して頂いた方々にも満足していただけたと思います。 
 最後に今回の見学会を実施するにあたり、東日本高速道路㈱関東支社千葉工事事務所和田副所長を始め、各工事エリアの関係者の方々に大変お世話になりました。この場を借りまして心よりお礼申し上げます。

         

写真-1 外環大和田相談所での事前説明

  写真-2 京葉道路と京葉JCT(仮)の工事ヤード

       

   写真-3 京葉JCT(仮)での見学状況

図-1 ケーソン施工~基礎受替の計画図
(NEXCO東日本「東京外環自動車道(千葉県区間)の概要」より)

      

      写真-4 試験函体へ入る状況               写真-5 試験函体内部の見学