静岡県三島市の建設業関係者の間では、予想される東海地震、駿河湾・相模湾直下型地震などが発生した場合の、地盤の液状化現象が心配されています。そこで三島商工会議所建設部会では、地盤工学会関東支部に出前授業を要請し、平成24年9月19日午後2時から4時過ぎにかけて、商工会議所ホールにおいて液状化に関するセミナーを開催しました。
筆者は学会から派遣されて、「他人事ではない地盤液状化!~あなたの会社は?自宅は?大丈夫ですか!?」と題して話をさせて頂きました。出席者は地元の建設会社、大手ゼネコンの営業所、建築設計事務所、コンサルタント、信用金庫などの代表や社長が主でしたが、一般市民の方々を交えて41名でした。
講演内容は、まず2011年3月の東日本大震災による浦安から千葉市美浜区にわたる東京湾岸埋立地や、香取市、潮来市、神栖市などの利根川水系氾濫原、千葉県旭市の砂鉄掘削廃棄物埋め立て地などを中心とする関東各地の液状化被害を写真で紹介した後に、次のような内容を話しました。①液状化のメカニズム、②地盤液状化への対策、③三島市における地盤液状化の発生が予想される地域。聴講者は建設関連の方々が多いとは言え、一般の方々もいらっしゃったので、メカニズムと対策の話は分り易さに心掛けました。また、三島市は海に面していないけれども、砂礫や細砂からなる緩い扇状地堆積物が広く分布する南西端地域では伏流水の水位も浅く、液状化発生の危険度が高いことを説明しました。会場からは、液状化を防ぐ方法に関する質問がありましたが、建築前の更地であれば適切な対策を講じることを勧めるけれども、既存建物下地盤の液状化防止工法は高価で難しいので、液状化で傾きや沈下などの被害が出た場合に、補助金や保険金を活用して補修するのが賢明ではないかとコメントしました。セミナーの様子は、翌日の静岡新聞朝刊でも紹介されました。 |