2.2 第2回ワークショップ
(1) はじめに~地盤情報データベースの意義と東日本大震災とその対応概説~:関東地盤DB委員会委員長龍岡 文夫先生(東京理科大学)が,第1回目のワークショップと同様に,地盤情報データベースの意義について,パブリックコメントを反映させた地盤工学会の「地震時における地盤災害の課題と対策 2011年東日本大震災の教訓と提言(第二次)」,(以下,第二次提言)との関連をもとに説明されました。「関東の地盤 2010年版」を出版したが,特にボーリング柱状図の数,地盤に関する記述,地盤モデルはより内容を充実させる必要があることを指摘され,「関東の地盤 2013年版」を第二版として出版する意義が改めて説明されました。第二次提言に関連づけて地盤情報は重要なものと位置付けているので,特に地盤情報は公のものとして,公開・共有されるべき情報との考えが示されました(図-3)。
(2) 新版「関東の地盤」の編集方針の概要:第1回ワークショップで頂いた意見を補足しながら,WG3から概要を清木の方から説明しました。基本的な執筆方針は,「関東の地盤 2010年版」と同様で,各県のボーリングデータを集約し,付録として添付しますが,大きな違いは,1) 地盤モデルと連携して執筆することと,2) 地盤モデルの成果を取り入れることであることを強調しました。
(3) 関東地域の地盤モデルについて:WG1の大井氏(防災科研,本委員会幹事)から,話題提供をして頂きました。地盤工学会が作成する地盤モデルは,全国統一の基準に基づいての作成を目指していることが説明されました。特にボーリング柱状図の電子データの公開が難しい場合,ボーリング柱状図から作成した地盤モデルが有効であることが補足されました。
(4) 基調講演:第2回目のワークショップも第1回目と同様に,担当される都県の関係者に意見を聴収するだけではなく,講演を通して,担当地域以外の情報を把握していただくために,基調講演を実施しました。第2回目のワークショップでは,「大震災が突き付けたいくつかの地盤工学的課題とその適応」と題して,安原 一哉先生(茨城大学名誉教授・委員会幹事)に話題提供をしていただきました。茨城県は東北地方に匹敵する位の津波,液状化,原発関連の複合的な被害に見舞われ,特に建物の一部損壊は,東北地方と同程度の軒数に昇ったことが強調されました(図-4)。
(5) 各都県の地質・地盤の概要の執筆方針と地盤モデル作成:第2回目のワークショップでは,第1回目のワークショップに続いて,神奈川県(荏本 孝久先生[神奈川大学・執筆委員]),茨城県(村上 哲先生[茨城大学・執筆委員]),群馬県(樋口 邦弘氏[(株)黒岩測量・執筆委員]),栃木県(西村 友良先生[足利工業大学・執筆委員])の四つの県について,書籍の執筆方針と地盤モデルの作成方針について情報提供をしていただきました。その後,第1回のワークショップの議論を引き継いで,書籍の執筆内容などについて,個々の県の地盤工学的特徴の扱いや全都県で統一する執筆内容について意見交換を行いました。
(6) おわりに:最後に,安田進先生(東京電機大学・本委員会副委員長)に全国電子地盤図が整理されてきた背景を補足して頂くとともに,他支部の規範となる良い書籍となるように執筆および地盤モデルの作成を行うことが確認されて閉会しました。
3.おわりに~ワークショップを行った成果とご協力のお願い~
関東地盤DB委員会で開催した2回のワークショップは,当初その効果は半信半疑のまま準備をすすめました。実際にこれらのワークショップを終えた今,関東地域8都県で共通で執筆しなければならない内容,各都県で個々に強調すべき方向性を明確にするとともに,本委員会の活動の成果として,関東の地盤(2010年度版)をより良いものとして2013年度版を出版する必要性について,個々の委員が再認識することができたことは最大の成果です。このワークショップで得られた意見を関東地域の地形・地質的特徴,地盤工学的な特徴を取りまとめや地盤モデルの構築に役立てられるように,今後の委員会活動をすすめて行きたいと思います。引き続き皆様方からのご意見を反映させて書籍出版を行いたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
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