地盤工学会関東支部評議員
兼 栃木県グループリーダー幹事
足利工業大学 教授 西村友良
1.はじめに
平成22年10月19日(火)に地盤工学会関東支部栃木県グループ主催の「地盤を学ぶ」を平成20年度に引き続き開催しました。昨年度は,栃木県宇都宮市で関東支部発表会(Geo-Kanto2009)が開催され,栃木県グループでこの発表会の実施をサポートしましたので,講習会の開催を見送りました。
2.講習会の概要
今回の講習会「地盤を学ぶ」では,地盤工学会関東支部の二つの研究委員会,「造成宅地の耐震調査・設計・対策方法に関する検討委員会」と「事業継続を可能とするための既存構造物周囲の地盤改良(補強)工法に関する研究委員会」から講師を迎え,主に栃木県内の地盤関係の実務者,技術者,研究者に研究の成果を説明して頂きました。開催場所,スケジュールは以下の通りです。
(1)講習会会場
とちぎ福祉プラザ 2F 第2研修室 (栃木県宇都宮市若草1丁目10番6号)
(2)講習会実施スケジュール
13時00分 | 開会挨拶 地盤工学会関東支部評議員・栃木県グループリーダー幹事 足利工業大学都市環境工学科 教授 西村 友良 |
13時10分 | 造成宅地の耐震調査・設計・対策方法に関する検討委員会」による講習会 |
14時40分 | 質疑応答 |
14時55分 | 休 憩 |
15時10分 |
事業継続を可能とするための既存構造物周囲の地盤改良(補強)工法に関する研究委員会による講習会 |
16時40分 | 質疑応答 |
16時55分 |
閉会挨拶 地盤工学会関東支部評議員・栃木県グループ幹事 栃木県地質調査業協会 会長 佐藤節 |
3.講習内容
(1) 宅地造成等規制法改正と実務の手引き
西村氏(写真-1)から造成宅地の耐震調査・設計・対策方法に関する検討委員会が出版された書籍の目次およびその概要が説明されました。その後,宅地造成に関連する法令の改正を説明して頂きました。宅地の地形情報をもとに一次スクリーニング,現場調査に基づく二次スクリーニングの考え方,この調査委に基づいた変状事例,変状の機構,対策事例が紹介されました。引き続き,山本氏によって,地盤調査,安定解析,対策工の詳細が説明されました。講演の後質疑応答を行いました。宅地地盤の特性(パラメータ)を求めるための試験方法と一次スクリーニングの手法を実用に移行するための課題について質問がありました。
(2) 事業継続のための既存構造物周囲の地盤改良について
林氏によって,委員会の関東支部内の位置づけ,一般的なBCP(事業継続計画)の概念が説明されました。これに地盤改良の各種施工法を組み合わせて,災害時の工場の生産量をできるだけ減らさない工夫とその費用の関連について説明がありました。深田氏から,具体的にBCPを各種構造物に適用するための手順をフローチャートによる検討事例を示して頂きました。質疑応答では,病院などの重要度が高い施設のBCPの有無について,地盤改良を行う薬剤の環境への影響について質問がありました。
写真-1 西村氏による講演風景 写真-2 講習会会場の様子
4.おわりに
今回地盤工学会関東支部の二つの研究委員会から4名の講師に講習会の講師を務めて頂き,82名もの方に参加者して頂きました(写真-2)。会場で行ったアンケートから,今回の講習内容が好評である一方で,中身が盛りだくさんであるとの意見も頂きました。引き続き,栃木県内の地盤技術者の技術力向上のためにも,興味をひく講習会の企画を考えてゆきたいと思います。
謝 辞:講習会を開催するにあたり,土木学会関東支部栃木会,栃木県地質調査業協会に共催として参画してい頂き援助をしていただいた。また,宇都宮市建設技術協会,(社)栃木県建築士会,日本建築学会関東支部栃木支所に後援をしていただき,開催に際して多大なるお力添えを頂きました。ここに記してお礼とさせて頂きます。