第9回彩の国市民科学オープンフォーラム開催報告
主催:埼玉大学地圏科学研究センター
共催:自然災害研究協議会関東地区部会
(社)地盤工学会関東支部
後援:埼玉県,埼玉県教育委員会
さいたま市,埼玉県技術士会
(社)埼玉県建設コンサルタント技術研修協会
埼玉県グループリーダー幹事 橘伸也(埼玉大学)
平成21年12月17日(木)14:00〜17:00,大宮ソニックシティ・市民ホールにおいて,第9回彩の国市民科学オープンフォーラムが開催されました.この行事は,埼玉大学地圏科学研究センターが社会啓発活動の一環として毎年開催しているもので,地盤工学会関東支部も例年,共催参加しています.平成21年度は,市民の方々を含め170名にのぼる大勢の方々にご参加をいただきました.
平成21年度のテーマは,「大地震・大洪水から生き延びる」とし,話題提供として3名の著名な講師の方々からご講演をいただき,引き続き,パネルディスカッションの時間が設けられました.講演の内容は,下記の通りです.
1.災害イマジネーションのすすめ
東京大学総合防災情報研究センター准教授大原 美保 講師
2.地域防災力向上の処方箋
群馬大学大学院工学研究科教授片田 敏孝 講師
3.埼玉県の防災対策
埼玉県危機管理防災部消防防災課富山 晶 講師
大原講師の講演内容は,災害発生時から時系列に沿って,何が起こるか,何ができるかを常日頃からイメージしておくことによって災害時の被害軽減を目指そうとするものであり,スポーツのメンタルトレーニングと似たような発想でありました.講演では,イメージの際の「10のポイント」を挙げられ,大変分かりやすく説明をいただきました.
片田講師の講演では,最近のゲリラ豪雨の発生時に起きた,避難勧告に従って避難したことによって災害を被ってしまった事例を紹介され,行政主導の防災の限界を指摘されました.その上で,よく言われる自助にも2つあること(「受身の自助」と「内発的自助」)を指摘され,内発的自助の醸成を促進する努力が必要であることを強調されました.これまでの行政主導の防災対策に対して,一石を投じられた内容でありました.
お二人の講演の主旨は,片田講師の言葉を借りれば,居安思危(「安きに居りて危うきを思う」)という言葉で纏められると思います.
これらの講演を受けて,埼玉県の富山講師は,埼玉県で起きた災害事例と今後起こり得る災害について紹介され,自助・共助・公助が一体となった防災対策の重要性を強調されました.また,埼玉県の防災対策の現況を説明され,自助・共助・公助を高めるための様々な取り組みを紹介されました.関連して,埼玉県防災学習センターや災害時伝言サービスなのどのチラシも配布されました.
パネルディスカッションでは,市民の方々から多くの質問がなされました.例えば,「地震発生時刻と緊急地震速報がでるまでの時間について」「地震の発生回数について」「その他の避難経路について」「豪雨時の水の流速と渡れるか渡れないかの判断について」など,基礎的な内容から緊急速報などの内容まで多岐にわたりました.講師の皆様には,各質問に丁寧に答えていただきました.
平成22年度につきましても,平成22年11月29日14:00より,大宮ソニック・国際会議室において,第10回彩の国市民科学オープンフォーラムの開催を予定いたしております.今年度も,地盤工学会関東支部のホームページ,あるいはメーリングリストなどを通じて会告をする予定でございます.多数の方々のご参加をお待ちいたしております.
会場の様子 パネルディスカッションで質問に答える講演者ら