「薬液注入系工法を対象とした工法協会交流会」開催報告

企画総務G 幹事

鎌田 敏幸(ケミカルグラウト梶j

 

 用途や工種が近く技術的に関連の深い工法を有する協会に集まってもらい、学会員を対象にそれぞれの工法の特徴や留意点を説明していただくとともに、会員サイドからは、日ごろより疑問に思っていること、相談したいことを協会に投げかけていただくという目的で、標記交流会を平成21年11月25日(水)15時から地盤工学会大会議室にて開催した。これは、学会員の半数以上がコンサルタント,ゼネコン,調査会社に所属している現状に鑑み,従来からの学術的な研究発表の場に留まらず実務に密着した情報収集・意見交換の場を学会員に提供していかなければとの認識に対応したものである。この交流会によって関連する工法を相互に比較することができれば、複雑化・高度化が進む最近の地盤工学的案件に対して、有効かつ合理的な工法の選定や実施に役立つものと期待している。

 アンカー系、補強盛土系をそれぞれ対象とした第1回、第2回に引き続き、第3回目となる今回は、学会員の関心が高い薬液注入系の工法協会に参加を呼びかけ、@恒久グラウト・本設注入協会、Aマルチパッカ工法協会、Bニューマックス工法研究会、Cカーベックス工法研究会、D浸透固化処理工法研究会、E静的圧入締固め工法(CPG工法)研究会の計6協会・研究会に参加頂いた。当日は、32名の出席であったが、各協会からも複数名の出席があり大会議室もほぼ満席に近い状態となった。

 
東畑幹事長の開催挨拶後、@〜Eの順に約10分間ずつ各協会・研究会の工法の特徴・留意点の説明をしていただいた後、フリーディスカッションによる意見交換を行なった。フロアからは、薬液自体の特許についての質問、薬液注入時における地盤変状防止上の留意点についての質問の他、曲がりボーリングによる既設構造物直下の施工におけるチェックボーリング等の出来型確認の方法についての質問があった。さらに、協会側からではあるが、恒久グラウトの定義について各協会・研究会がそれぞれ「恒久」と謳っている現状を鑑み、地盤工学会で「恒久」の定義をして頂きたいとの要望もあった。また、深層混合処理工法における格子状改良地盤のような、全面改良を実施しなくても効果を発揮するような効率的な工法はないのかが質問された。その他、曲がりボーリングの曲率、削孔長、地盤条件、最大深度、鉛直・水平精度、位置確認方法についての質問があった。

 フロアサイドの学会員、各協会・研究会双方から活発な意見交換ができたが、時間の制約もあり工法選定上の大きな指標の一つと言えるコスト面での質疑が皆無であった。

今後、別工種の協会を対象に交流会を開催していく予定である。

写真 交流会の様子