(社)日本地すべり学会関東支部・記念シンポジウムの開催報告

平成20年6月13日(金)に(社)日本地すべり学会関東支部・記念シンポジウムが開催されました。当初、中国成都理工大学の黄潤秋教授をお招きする予定でしたが、おりしも成都がある四川省で5月12日に大地震があり当日の講演が不可能となりました。そのため急遽、下記の災害調査報告に変更させていただきました。本シンポジウムは大規模地すべりと地震というタイムリーな話題でもあり、多くの来場者を迎え盛大に開催されました。ここにその報告を記すとともに関係各位、来場者に御礼を申し上げます。

 

■ シンポジウムテーマ:日本と中国における大規模地すべりの実態と対策

(1) 群馬大学教授 鵜飼恵三、群馬大学助教 蔡飛、国土防災技術梶@山田正雄 

「四川省ぶん川大地震・地すべり災害調査結果」

(2) 千葉大学名誉教授 古谷尊彦「大規模な地すべり・崩壊の発生場に関する私見」

日時場所:平成20年6月13日(金)13時〜17時 東京大学武田先端知ホール 

主催:(社)日本地すべり学会関東支部 後援:(社)地盤工学会関東支部

2008年5月12日に中国四川省?川でマグニチュード8.0の巨大地震が発生した。地震断層沿いの都市部と山間部に壊滅的な被害をもたらし死者行方不明者は8万人を越す。特に土砂崩壊等により生じた堰塞湖は巨大で,下流域では万人規模での避難も行われた。本報告は同25日、26日に演者らが中国側研究者の協力を得て実施した現地調査結果の報告である。都江堰市内の中学校倒壊、都江堰ダムの被災、道路斜面の落石、崩壊状況および他彭州市付近での大規模崩壊等を詳細に報告された。今後の課題としては1)地すべり(広義)危険箇所把握と対策工計画2)堰塞湖の応急対策と監視3)住民の移住4)建物の耐震性5)活断層の把握と建物制限等を挙げられた。

千葉大学名誉教授の古谷尊彦様は我が国を代表する地すべり研究者である。今回の講演は大規模地すべり・崩壊研究のエッセンスを凝縮したものであった。大規模地すべり・崩壊の定義と実態、地形・地質の発生場等について、国内外の具体例に基づき詳細かつわかり易い説明をいただいた。その中で従来の破砕帯地すべりについては、地殻ひずみが蓄積された変動帯や上載荷重の開放等も含めた巨大地すべり・崩壊等の発生場としての見直しを提言された。更には山間地域での人との係わりも含めた災害対策のあり方等にも言及された。  

 写真1 盛況な会場での古谷先生の講演

  写真2 ぶん川大地震災害調査報告の講演


       (文責:地すべり学会関東支部広報 小野田)