平成22年度より関東支部研究委員会に「薬液注入工法を用いた地盤改良技術の今後の展開に関する調査検討会」を設置し、主に液状化対策を目的とした薬液注入工法に関して、@注入材・注入工法の現状把握と整理、A注入材の基本的性質による類型化と対応する性能に関する整理、B既存施設の延命化に関する設計・施工方法に関する調査を行って参りました。その結果、調査検討委員会にて材料や工法、設計、施工に関する現状把握と整理をすることができましたが、同時に新たな課題も浮上しました。
特に、注入材の耐久性に関しては統一された試験法が無いため、様々な機関が独自の試験方法により確認を行っているのが現状です。よって、注入材の耐久性について広く議論するためには耐久性の試験法を検討・決定し、この統一された試験法を用いて耐久性を確認する必要があります。また、設計法に関しても、構造物によって指針や設計法が異なるため、設計者にとっては薬液注入による既設構造物の延命化に関わるガイドラインを構築する必要性が伺えます。さらには、先の震災による宅地の液状化被害に対して、沈下修正手法としての薬液注入工法が一つの選択肢として注目され、設計法・施工法・注入材料について、今一度整理・体系化にあたることが求められています。これらの課題を解決するため本年度より調査検討会から「薬液注入工法の設計・施工法および試験法に関する研究委員会」に名称を変更し、さらなる研究活動を行います。 |