東日本大震災10周年企画 |
主催:地盤工学会関東支部 会員サービスグループ |
この度、会員サービスグループでは、発生から10年が経過した東日本大震災の発生当時の様子や、現地の調査状況等を後世に伝えるために、「東日本大震災10周年企画 ~語り継ぐ 地盤技術者たちの記憶~ 」を企画しました。 |
【日 時】 |
第1回:令和3年8月19日(木)14:00 ~ 15:40 (受付開始13:30) 第2回:令和3年8月25日(水)14:00 ~ 15:40 (受付開始13:30) 第3回:令和3年8月31日(火)14:00 ~ 16:10 (受付開始13:30) |
【会 場】 |
オンライン(Zoomミーティング) |
【対象者】 |
学生および若手技術者(会員・非会員の種別なくご参加いただけます) |
【講 師】
|
第1回:吉田 望 先生(関東学院大学 防災・減災・復興学研究所 研究員) 安田 進 先生 (東京電機大学 名誉教授) 第2回:東畑 郁生先生(東京大学 名誉教授,関東学院大学 客員教授) 佐々木 康先生(広島大学 名誉教授) 第3回:中井 正一先生(千葉大学 名誉教授) 若松 加寿江先生(関東学院大学工学総合研究所・研究員) 時松 孝次先生(東京工業大学 名誉教授、(株)東京ソイルリサーチ) |
【講演内容】
|
地震発生後すぐに調査に行かれた講師の方をお招きして地震発生当時を振り返り、当時の調査状況や調査手法についてご講演いただきます。各講演終了後には、講師と聴講者のディスカッションの時間を設け、各講演内容に対する質問や東日本大震災に関連する聴講者の疑問点に対して講師の方からお話をしていただきます。 なお、当日はzoomのチャット機能や挙手機能を利用した質疑を行いますが、講師の方への事前質問も受け付けております。HPに掲載された概要をご一読下さい。質問事項のある方は申込みフォームに記載ください。 ※多数の事前質問をいただいた場合、時間の関係上、すべての質問にお答えできるわけではございません。ご了承下さい。 |
【参加費用】 |
無料 |
【定 員】 |
第1回:300名・第2回:300名・第3回:300名 |
【G-CPD】 |
第1回:1.5・第2回:1.5・第3回:2.0 |
【申込締切】 |
第1回:令和3年8月18日(水)16:00まで 【申込受付を終了いたしました】 第2回:令和3年8月24日(火)16:00まで 【申込受付を終了いたしました】 第3回:令和3年8月30日(月)16:00まで 【申込受付を終了いたしました】 |
【注意事項】 |
講演会の内容を録画や録音し,インターネット及びSNSに開示することは禁止します。 |
【連絡事項】 |
第3回講演会(8月31日開催)のZoomミーティング入室URLは聴講参加者へ連絡済です。事務局からメールでの連絡が届いていない方は問合せ先までご連絡ください。 |
【問合せ先】 |
公益社団法人地盤工学会関東支部 会員サービスグループ係宛て 電話:03-3946-8670 FAX:03-3946-8699 E-mail:kantouevent@jiban.or.jp |
【プログラム】
|
|
第1回
|
|
13:30 |
受付開始 |
14:00 |
開始 |
14:10 |
講演①「津波に遭遇してからの生活」 講師 吉田 望 先生(関東学院大学 防災・減災・復興学研究所 研究員) 概要 津波は避難した歩道橋で経験しました。家は床上40cmほど津波でつかりました。電気なし、水 道なしの状況で、さらに車は無事でしたが、ガソリンが購入できず、移動もままなりませんでし た。この中での生活、家の復旧などについてお話しします。 |
14:40 |
講演②「直後は情報が皆無だった液状化の7日間の調査」 講師 安田 進 先生(東京電機大学 名誉教授) 概要 東日本大震災の時東京で長い揺れを受け、浦安に行かねばと瞬間的に思いました。翌日から学生 諸君を総動員して東京湾から茨城県にかけて調査して回りました。マスコミは津波被害一色で液 状化の情報が皆無でガソリンも無い中、調査の範囲や方法を手探りで検討した話をします。 実際に調査して回った行程は以下の通りです。地震翌日:浦安市、2日後:千葉市および東京湾 岸の東側、3日後:豊洲・新木場、4日後:辰巳・東雲、5日後:潮来市・神栖市(学生諸君は京 葉線各駅で降りて調査)、6日後:安田は休憩(学生諸君は京葉線各駅で降りて調査継続)、7日 後:習志野市(学生諸君は京葉線各駅で降りて調査継続)、8日後:データ整理、9日後:千葉市 ~浦安間の残りの地区、10日後:データ整理・マスコミ対応、11日後:お台場 今後の地震発生時の調査に参考にしてもらえば幸いです。 |
15:10 |
ディスカッション |
15:40 |
終了 |
第2回
|
|
13:30 |
受付開始 |
14:00 |
開始 |
14:10 |
講演①「東日本大震災から10年たって想起すること」 講師 東畑 郁生 先生(東京大学 名誉教授,関東学院大学 客員教授) 概要 地震の当日は大学の研究室におり、変位振幅が±20cmくらいあることを体感した。加速度を感じ る地震は多いが、変位を感じる地震はごく少ない。やはり特別の事件であった。2日ほどして秘 密情報なるものが伝わってきた。なんでも福島第一原発の事故で漏れた大量の放射能が雨雲に乗 って東京方面へ来つつある、という気象専門家からの数値予測とのことであった。これはもうあ かんなと思い、旅立ちの心つもりをしながら帰宅した。ところが自宅前で都バスが私を横切り、 運転手さんが残り一日の人生とも知らず勤務に精励しているのを見て、衝撃を受けた。自分も職 務に励まねばと改心し、ともかく災害後の100日間はノンストップで活動した。幸いにも秘密情 報はデマであった。3月末に土木学会の活動として、東北方面の踏査の機会を得た。仙台から石 巻方面で実見した津波の破壊力は、忘れられない。5月初めには三陸方面にも行き、陸前高田で すべて消滅した光景に直面した。スマトラのバンダアチェも、これほどではなかった。同じ規模 の災害は、近い将来、必ず発生する。学んだ教訓は、物流の広域ストップ、風評被害、科学技術 は万能にあらず、いざとなると人情もあてにならない、などである。詳しくは当日お話ししま す。 |
14:40 |
講演②「地盤被害の初動調査(河川堤防)」 講師 佐々木 康 先生(広島大学 名誉教授) 概要 M=9.0の2011年東北地方太平洋沖地震は、広範囲にわたる継続時間の長い地震動と地盤液状化 ならびに津波をもたらし、東日本各所の河川で堤防被害を惹起した。筆者の関与した調査事例か ら、江戸川右岸西関宿、久慈川右岸本米崎、霞ヶ浦湖岸ほかを選び、堤防の壊れ方(変形)には 土の液状化領域の分布が深くかかわることを紹介する。また、山付け堤防区間における堤体内地 下水の地山からの涵養についても紹介する。東北地整管内の事例では、阿武隈川ほかの河川河口 部における津波被害に言及するが、堤防の津波被害の地盤工学的知識は十分でなく、早い将来で の知識整理が望まれる。液状化による損傷例として、阿武隈川右岸枝野の、昔、腹付けしたとき の施工基盤(サンドマット)が液状化した事例、鳴瀬川左岸下中ノ目上流の堤体の流動的大変形 の事例、一関遊水地周囲堤での宙水が原因となった事例などを紹介する。これらの紹介を通じ て、被害実態の把握には俯瞰的な視点での撮影写真が有用であり、被害に関わる種々の痕跡や データは消えてしまう可能性への注意、ならびに既往被害や築堤履歴は液状化領域を知る上で 有用であることを紹介し、地震による地盤被害には反復性があることを指摘する。 |
15:10 |
ディスカッション |
15:40 |
終了 |
第3回
|
|
13:30 |
受付開始 |
14:00 |
開始 |
14:10 |
講演①「東北地方太平洋沖地震による液状化被害と今後に向けての対策」 講師 中井 正一 先生(千葉大学 名誉教授) 概要 2011年東北地方太平洋沖地震により、千葉県下では広範囲にわたって液状化が発生した。千葉市 美浜区においても全域で液状化が発生し、甚大な被害を被った。特に戸建て住宅地では、構造的 な被害はほとんど無いものの、健康障害を引き起こすような傾斜を生じた建物が続出し、大きな 社会問題となった。千葉大学では、地震発生直後に、千葉市美浜区全域を対象とする液状化に伴 う噴砂分布の調査を行い、被害マップを作成した。その結果、広範囲にわたって激しく噴砂が発 生している地区もあれば、噴砂が全く見られない地域が隣接するなど、液状化被害には大きな偏 りのあることが分かった。本報告では、千葉市美浜区における液状化被害分布の把握、被害程度 に著しい不均一性が生じたメカニズムの分析、さらには、既存戸建て住宅地を対象とする将来の 液状化対策法の検討などを通じた液状化対策事業への協力などを紹介する。一連の調査分析を通 じて、埋立地盤に潜む意外なリスクを指摘する。 |
14:40 |
講演②「東北地方太平洋沖地震による液状化発生地点の悉皆調査」 講師 若松 加寿江 先生(関東学院大学工学総合研究所・研究員) 概要 液状化発生の確認を現地調査で行う目的は、人や組織によって様々である。私は常々、液状化が 発生した場所をくまなく見つけ出し、発生位置や構造物被害との関係を整理し、最終的には調査 結果を公開することを目的として、液状化の情報収集と現地調査を行ってきた。東北地方太平洋 沖地震の調査に関して、良かったこと、苦労したことは講演当日お話しする。液状化の発生を確 認できた地域は、北は青森県から南は神奈川県まで、南北約650kmの範囲で、東北地方と関東地 方の全都県(13都県)の193市区町村に及んだ。 液状化を始めとする地盤変状の調査は時間との勝負である。地元自治体等による復旧が速く痕跡 はすぐに消失する。震災直後の混乱の中で液状化地点探しは難航した。それでも、顕著な液状化 被害があったと聞くと必ず現地に足を運んだ。たとえ時間が経って被害の痕跡は薄れていても、 どのような地形条件・土地条件の地域で液状化が起きたかをこの目で確かめるためである。現地 調査は通算50回余り、最後の調査を終えたのは地震から6年後のことである。2016年4月に熊本 地震が発生し、熊本を調査する必要が生じた。もし、熊本地震が起きなければその後も調査して いたかもしれない。 |
15:10 |
講演③ 「東北地方太平洋沖地震津波による女川の建物転倒被害とその要因分析」 講師 時松 孝次 先生(東京工業大学 名誉教授、(株)東京ソイルリサーチ) 概要 2011年東北地方太平洋沖地震の津波により、宮城県女川町では多くの木造家屋が流失するととも に、いくつかのRC造建物が転倒した。建物の転倒方向は山側、海側、海岸線平行方向など様々で あり、その要因解明に、地盤工学の視点から貢献できないかと考えた。そこで、女川町を対象に した現地調査とビデオ等の画像情報に基づいて、被害の実態と時系列状況を把握するとととも に、津波専門家との共同研究として、被害の差異を生じさせた要因について平面2次元および3次 元津波遡上解析に基づいて検討した。その結果、海側・山側への転倒被害は、各地点の周辺地形 の差異により生じる浸水深と流速から推定される建物に作用する外力(波力と浮力)と、作用外 力に対する建物の転倒・滑動・浮上りについての抵抗力を評価することで概ね推定できること、 一方、海岸線と平行方向への転倒は、同様の考え方では説明できないが、海側より流失した建物 の衝突により生じた可能性の高いことが示唆された。 |
15:40 |
ディスカッション |
16:10 |
終了 |