関東支部 企画総務グループ
幹事 高柳 剛(公財)鉄道総合技術研究所
平成27年2月5日(木)9:00~15:30,練馬区立貫井中学校校舎におきまして,(株)藤井基礎設計事務所の藤井俊逸様に講師役を引き受けて頂きまして、学生に向けた出前授業「模型実験で知る土砂災害」が地盤工学会関東支部企画総務グループ主催で開催されました。また本出前授業のアシスタントとして日本大学の長谷川圭介君と野田遼太君の2名に協力をして頂きました。今回の出前授業は同学年の各クラスに1回ずつ、1日で合計4回の授業が行われました。なお1回の授業には男女合わせて約30人が参加しました。
開催当日には授業の実施前に藤井様、長谷川君、野田君、筆者の4名でまず学校長にご挨拶に伺い、校舎内の理科室で出前授業の準備作業を行った上で本番の実験に臨みました。久しぶりに中学校に立ち入る筆者としては、少し不思議な心持ちで出前授業に取り組みました。今回の模型実験のプログラム構成は、①「土砂災害の種類」、②「がけ崩れから身を守るために」、③「がけ崩れを防ぐ模型実験」、④「雨が降って山が崩れる(地すべり)のはなぜ?」、⑤「地すべりを防ぐ模型実験」の5つのトピックに沿って実施しました。
①「土砂災害の種類」では、パワーポイントやビデオなどを使って実際の災害の動画を見てもらいながら災害の種類を説明し、災害が起こる基本的なメカニズムについて解説しました。②「がけ崩れから身を守るために」ではナットを岩塊に見立てた模型を用いて、亀裂等が入った脆弱な地山が崩壊する様子を模型で再現しました。また崩壊時には岩塊が斜面の下に建てられた家屋の一階部分に集中して衝突する様子を再現し、斜面に近い位置に建てられた家屋内では特に1階部分が危険になることを学生に伝えました。③「がけ崩れを防ぐ模型実験」では、これまでのがけ崩れの模型実験を踏まえた上で、吹付枠工やアンカーがどのように斜面崩壊を防ぐ効果を発揮するのか、模型を用いてメカニズムを解説しました。④「雨が降って山が崩れる(地すべり)のはなぜ?」では、地盤に見立てた円弧状の発泡スチロールの周囲に水を注入することで、発泡スチロールに浮力をかけることで滑動させる実験を行いました。この実験を通して、地下水が地すべりに与える影響について説明しました。最後に⑤「地すべりを防ぐ模型実験」では、地すべりの対策工として排水ボーリング・押さえ盛土・杭工法・アンカー工法について紹介し、対策の効果について模型実験を通じて学生に感覚的に分かりやすく説明しました。
これらの模型実験を実施する中で、生徒の中から希望者を募って模型実験を実体験してもらいました。筆者としては学生がどれだけ積極的に参加してくれるか少し不安もありましたが、多数の生徒が実験の参加を積極的に希望していました。実験では多少のトラブルも発生しましたが、講師の絶妙なアドリブに助けられ、楽しい雰囲気で授業を進めることができました。
この出前授業を実施するにあたり,講師を引き受けていただいた藤井様、一生懸命アシスタントに努めてくれた長谷川君と野田君をはじめ、ご協力いただいた皆様に感謝を申し上げます.
写真1 模型実験に参加する学生 写真2 授業全体の様子