「トルコにおけるジオフォーム技術の最近の現状:研究活動と実用」
特別講演会 開催報告

地盤工学会関東支部 茨城県グループ
幹事 伴 夏男(基礎地盤コンサルタンツ(株))

 トルコ オカン大学準教授のアブドラ・トルガ・オザール博士は、2018年5月9日~11日に北キプロス・トルコ共和国で開催された「第5回EPS技術に関する国際会議」で議長を務められ、6月28日にEPS開発機構が防災科学技術研究所で実施した、“実物大振動模型実験”の見学のために来日されました。本講演会は、EPS開発機構の新会長である、茨城大学 安原名誉教授のご厚意により、6月29日に茨城大学 地球変動適応科学研究機関にて開催されたものです(写真-1)。
 以下にその概要をご報告します。
 EPS工法は、北欧ノルウェーで開発された工法であり、日本では1985年に導入され、主に軟弱地盤上の軽量盛土工法として適用されています。トルコは日本と同じ地震国であり、土木分野へのEPSの適用が非常に多いとのことです。オザール博士はトルコにおけるこの分野の第一人者であり、EPS工法を用いた既存地下埋設物への荷重軽減、また日本ではあまり例のないEPS工法による斜面補強等の研究をされております。講演ではこれらの研究成果および施工事例等が紹介されました。
 斜面補強に関する研究では、模型実験の紹介がありました。砂で作成した模型盛土地盤表層にEPS模型を敷設し、背後地盤から水を供給することにより模型地盤を破壊させ、EPSの敷設形状・緊結状況の違いと計測水圧等より、破壊メカニズムの解明・EPSの補強効果等を研究されています。(写真-2)
 また新設道路下のライフライン保護のためにEPSを適用した施工事例が紹介されました。施工は3段で敷設され、原地盤面およびEPS境界面の沈下状況をモニタリングしながら構築したとのことでした。(写真-3)
 聴講者は22名でしたが、日本における適用事例とはその目的が若干異なっていることもあり、活発な質疑応答があり、EPS工法の新しい適用法等も期待される講演会となりました。(写真-4)
 最後に、講演会開催にご尽力いただきました茨城大学およびEPS開発機構の皆様に御礼申し上げます。

写真-1 講演会風景

写真-2 斜面補強に関する模型実験

写真-3 新設道路盛土への適用事例(既設ライフラインへの荷重低減)

写真-4 講演者および聴講者による集合写真