千葉市液状化対策事業見学会 開催報告

地盤工学会関東支部 千葉県グループ
リーダー幹事・若月洋朗(千葉ENG(株))

 関東支部千葉県グループ・企画総務グループでは、平成30年2月7日に、千葉市様、千代田コンサルタント様の協力を得て、24名参加のもと千葉市で行われている市街地液状化対策事業の作業現場を見学させて頂きました。平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、東京湾岸北部の埋立地の広域で液状化が生じ、戸建て住宅やライフラインに甚大な被害を及ぼしました。今後の液状化被害を軽減するため、千葉市では公共施設と宅地を一体的に液状化対策する市街地液状化対策事業を推進しており,住民の同意が得られた千葉市美浜区内の磯辺4丁目と3丁目地区で対策工事が実施されています。本見学会では、液状化対策工法の概要の説明・集排水システムの根幹である推進工法の作業現場を見学しました。
 見学者は、工事の仮事務所のある千葉市美浜区内の公園に集合し、15:00より事業の概要と工事の全体について説明を受けました。採用された対策工法である「地下水位低下工法」は、道路に立坑を構築して推進工法にて立体網状集排水管を地表面下約3.5mの位置に敷設し、ネットワーク状に連結して末端に流下させる排水システムとのことでした。その後,工事の作業現場の中の“立坑構築箇所での仮設作業”と“推進工法の作業状況”を見学しました。個人的にはまず現場を見て,比較的静かな住宅街の中でしたが多数の立坑工事が同時に実施されており,周辺環境にかなりの配慮が必要である,との感想を持ちました。また,事前の説明において当該地の工事の特徴として,道路部の掘削を立坑部だけの最小限に留めるために推進工法式を採用したとのことで,様々な合意形成や技術的検討を経て,当工事が実施されているということを改めて実感しました。現地での見学が一通り終了した後,近隣の集会所にて詳細な工事の説明と質疑応答の会を催しました。工事の技術的な側面に関する質問に加えて,地域住民との合意形成や法制度に関連した質問など多岐にわたる質疑が展開され,非常に活発な議論の場となりました。参加者を募った際に即日定員に達したことも含めて,当該工事・工法への注目度の高さが窺われました。予定時間を若干過ぎたところでようやく質疑が落ち着き,今回の現場見学会を終了し解散しました。
 なお,末筆ながら,当見学会の企画・調整への御協力及び当日の説明会でのご対応を頂きました東京電機大学の安田進先生ならびに石川敬祐先生,また多数のご参加を頂きました地盤品質判定士の方々に,深く御礼申し上げます。

図-1 当該地の液状化対策工法の概念図

写真-1 現地での立坑の見学状況