「下仁田ジオパーク見学会」開催報告

関東支部 群馬県グループ  
幹事 栗原 誠(プロファ設計(株))

 群馬県グループでは,平成27年12月4日(金)に,下仁田ジオパークの見学会を開催いたしました.
冬晴れの下,前橋市の群馬建設会館を出発し,参加者29名は下仁田自然史館に向かいました.館内のビデオとパンフレットでジオパークの概要説明を受けた後,二斑に分かれて,跡倉クリッペのすべり(断層)面観察と館内展示物の見学を行いました.前者は,白亜紀後期の跡倉層が三波川帯の緑色片岩の上に乗り上げている所で,跡倉クリッペの下面にあたります.また後者には,下仁田周辺の岩石や自然,名産の蒟蒻などに関する資料が展示されています.
 その後,もう一つの名産である下仁田ネギの畑を眺めつつ,町中心部の鏑川右岸移動し,川井の断層を観察しました.ここは中央構造線の延長とされ,前述の緑色片岩と中新世の下仁田層が接しています.さらに,対岸へ渡って貝化石を含む下仁田層を観察し,午前の部は終了です.昼食は,各自町内の飲食店で,ジオパークにあやかった丼や名物のカツ丼などを頂きました.
 午後は最初に,青岩公園で緑色片岩と河床礫の観察です.ここでは鏑川本流と南牧川が合流しますが,両河川の上流域に分布する地層が異なるので,様々な種類の河床礫を見ることができます.
 次に,バスで県道下仁田上野線を西へ向かい,宮室の逆転層と大桑原の褶曲を見学しました.前者では,底痕や級化の状態を観察し,地層の逆転の証拠を見いだしました.また後者では,大地の変動の激しさを目の当たりにしました.
駆け足でしたが,地質の宝庫と言われる下仁田ジオパークを体感することができました.参加者の皆さんは少なからず地質に興味のある方々ですが,実際の露頭を観察することでより一層見識を深められたことと思います.また,今後の業務,研究にも,必ず役立つことでしょう.
 末筆となりますが,今回の見学会にあたっては,下仁田町産業観光課並びに下仁田自然史館に大変お世話になりました.特に,観光振興係の関谷友彦主任,自然史館の小林忠夫先生には,ご同行の上,ご丁寧な解説をしていただきました.この場を借りて厚く御礼申し上げます.また,下仁田ジオパークが,世界ジオパークへ登録となりますことを祈念いたします.

写真-1 跡倉層下面の低角度断層 写真-2 下仁田層の観察