平成23年度地盤工学会関東支部栃木県グループ勉強会
「土壌・地下水汚染の調査・予測・対策講習会」実施報告

 地盤工学会関東支部栃木県グループ

1.はじめに
 地盤工学会関東支部栃木県グループは,平成24年1月26日(木) 14:00~17:00で,宇都宮市東市民活動センター1階研修室,第1会議室において,勉強会を主催して開催しました。この勉強会は,地盤工学会本部で平成22年度に開催された「続・土壌・地下水汚染の調査・予測・対策講習会」の内容に,入門編として「土壌・地下水汚染の調査・予測・対策」の内容を盛り込む開催を本部事業部(当時)にお願いし,講師を紹介して頂く形式で実施したものです。この勉強会には,県内各地から33名の方に参加して頂き,無事終えることができました。
2.勉強会について
 はじめに,足利工業大学教授・栃木県グループリーダー幹事兼関東支部評議員の西村友良先生から開会のあいさつを頂き,地下水と栃木県の住民のつながりについて概説をお話し頂くとともに,飲料水や地下水の水源確保の大切さについて説明が行われました(写真‐1)。
 その後,今回の勉強会の講師を務めて頂きました地盤環境エンジニアリング株式会社 取締役・深田園子様から,地盤工学会から出版されている「地盤工学入門シリーズ・土壌・地下水汚染の調査と対策」および「地盤工学入門シリーズ・続・土壌・地下水汚染の調査と対策」の内容を抜粋して,pptを用いて,「概説」,「土壌・地下水汚染の調査法」,「土壌・地下水汚染の対策」と分けて,大変わかりやすく説明して頂きました(写真-2)。この中の概説は,この勉強会のテキストを中心となってとりまとめられました岡山大学教授・元地下水学会会長の西垣誠先生が講義される予定でしたが,急きょ都合が悪くなり欠席されたため,深田様に他の講義内容に加えて、西垣先生に資料を用いて,代理の講義をお願い致しました。この勉強会では,テキストの内容を単に紹介するだけでなく,栃木県の土壌汚染の実態とその対策の歴史を足尾鉱毒などの事例ともに紹介したり,東日本大震災に伴って沿岸部に発生した土壌汚染と対策について,出席者とともに考えるように問題提起されたりする形式で講義をすすめられ,大変工夫された講義内容でした。また,土壌汚染の実態とその対策をご自身の携われた調査方法と関連させて説明され,土壌汚染の汚染物質を特定し,これを取り除くまで,大変な時間と労力が伴うことを示して頂きました。勉強会の講義の合間の質疑応答では,例年になく参加者の質問が多く,戸建て住宅の補強工法との土壌汚染の関連,土壌汚染の実例数の問い合わせ,実務に対する助言依頼など,会場の参加者の熱心さが伝わってきました(写真‐3)。

      

写真-1西村先生による開会のあいさつ 写真-2深田先生によるご講演の様子 写真-3勉強会の会場風景

3.おわりに
 今回の勉強会は,栃木県の地盤技術者の技術力向上のために,本来であれば,地盤工学会本部で半日から一日かけて行われる講義内容を限られた時間で講義して頂くことを講師の深田様に,かなり無理を言ってお願いし,実現したものでしたが,大変有意義なものとなりました。地盤工学会の研究成果をこのような形で,県内技術者に浸透させてゆくことは,結果として会員増強にもつながることとも考えられます。栃木県グループは,このような活動を一回一回重ねて,地盤工学会の研究成果・魅力を県内技術者に広めて行きたいと思います。