防災科学技術研究所見学会 報告

関東支部茨城県グループ

 

 平成21年12月3日(木)13:00〜16:30、茨城県つくば市の防災科学技術研究所で見学会を開催しました。関東支部地域活動グループ・茨城県グループでは、恒例の催しとして、県内の研究機関を見学する「研究所めぐり」を企画・運営しており、今回で5回目の開催となりました。

当日はあいにくの空模様でしたが、22名にご参加いただきました。以下、見学会の様子をご報告します。

  見学会スケジュール

(1)防災科学技術研究所 概要説明(森脇理事)

(2)新型地震ハザードステーションの説明(防災システム研究センター:森川研究員)

(3)MPレーダーによる降雨観測の説明(水・土砂防災研究部:鈴木主任研究員)

(4)浸水被害予測手法・実用化の説明(水・土砂防災研究部:中根総括主任研究員)

(5)地すべり分布図の説明(防災システム研究センター:井口総括主任研究員)

(6)高感度地震観測網の説明(地震研究部:汐見主任研究員)

(7)大型耐震実験施設 見学(箕輪研究参事)

(8)大型降雨実験施設 見学(水・土砂防災研究部:酒井主任研究員)

 はじめに研究交流棟にご案内いただきました。そこで森脇理事より防災科学技術研究所の概要説明をいただき、当研究所が取り組んでいる自然災害の発生メカニズムの解明や防災・減災のための基礎研究や技術開発に関してご紹介いただきました。次いで各研究者の方々が個々の研究に関してご説明して下さいました。

 各研究機関や地盤工学会などと連携し、全国を対象とした地震ハザード評価を実施し、情報をWEB上で提供するシステム(新型地震ハザードステーション)や、先端的気象レーダ(MPレーダ)により雨と風の分布をリアルタイムで求め、近年特に問題となっている局所的な豪雨や強風に対する監視と予測技術やリアルタイムの浸水被害危険度予測に関する研究など、最新の防災研究をご紹介いただきました。

 また全国(北海道・沖縄を除く)の地すべり地形のベクトルデータを用いて1枚に集大成した地すべり分布図は、一目で地すべりの多発地域、非発生地域が識別でき、今後の斜面防災への活用が期待される貴重なものでした。

    

    研究交流棟での様子

 日本全域には3種の地震計(高感度地震計、広帯域地震計、強震計)が展開されており、微動から強震動に至る様々な「揺れ」を正確に観測するシステムに関してご説明いただきました。 全国約800ヶ所に設置された高感度地震計による観測データは気象庁にもリアルタイムで送られ、「緊急地震速報」にも利用されていると教えていただきました。

 全国約800ヶ所に設置された高感度地震計による観測データは気象庁にもリアルタイムで送られ、「緊急地震速報」にも利用されていると教えていただきました。

 以上研究に関するご説明のあと、実験施設を見学させていただきました。

 大型耐震実験施設は1964年の新潟地震をきっかけに作成されたとのことです。14.5m×15mの大型テーブルを利用して、大規模な耐震実験を実施することができます。

 大型降雨実験施設では、実際に散水の様子を見せていただきました。この散水装置は世界最大の規模・能力を有し、毎時15〜200mmの雨を降らせることができるそうです。実際散水を目にすると迫力があり、また現実の降雨と何ら変わらない印象を受けました。

 最後に、見学会を快く受け入れ、かつ貴重な体験をさせていただき、運営にご尽力くださいました酒井主任研究員をはじめ、防災科学技術研究所の皆さまに厚く御礼申し上げます。

  

  大型耐震実験施設

   

  大型降雨実験施設