第2回 学生対抗ソイルタワーコンテスト 開催報告

 

(社)地盤工学会関東支部 会員サービスグループ幹事

東京大学工学部 山田 卓

 

 (社)地盤工学会関東支部では,平成19年10月6日(土)に第2回学生対抗ソイルタワーコンテストを実施した.本コンテストは,土質力学の専門知識をベースとして,与えられた4種類の土試料(硅砂,砕石,山砂,ローム)を自由に配合してソイルタワーを作製する学生参加型の行事で,昨年度から開催されている.コンテストでは,耐荷重(強さ),重量(軽さ),高さ,美しさ(芸術性),プレゼンテーションが審査され,ソイルタワー値(載荷加重/タワー重量)Highest Tower(タワー高さ),Artistic(芸術性,表現力),の各部門の1位と総合点1位のチームが表彰された.第2回目の今年度は大学,高専合わせて8校9チーム(表−1)が参加し熱戦が繰り広げられた(写真−1).また,特別ゲストとして,本大会の審査委員長を努められた太田秀樹教授(東京工業大学)にソイルタワー作製に参加していただいた(写真−2).

 

写真−1 ソイルタワーコンテスト開催風景
写真−2 太田審査委員長もタワー作製に参加

 

表−1 参加チーム一覧

東京大学

中央大学

横浜国立大学(A)

横浜国立大学(B)

木更津工業高等専門学校

和歌山工業高等専門学校

日本大学

明星大学

関東学院大学

 

タワー作製に用いる用具類は電動式不可以外の制限は無く,鋼製モールドや木材や塩ビ管,アクリル等で作製された型枠,自作の突固め用具など,各グループ独自の道具が持ち込まれた.今回の新たな試みとして,事前に4種類の土試料の重量割合を告知せず当日発表し,シークレット材料(新聞紙)をソイルタワー作製材料として各チーム1枚ずつ配布し,参加者の独創的なソイルタワー作製に期待した.

当初は,想定外の試料分量に試料配合割合や含水比調整に苦労するチームも見受けられたが,いずれの参加チームも事前のトレーニングを重ねており,最終的には立派にタワーを作り上げていた.また,新聞紙の使用方法にも各チームで工夫が見られ,土と混合して補強剤としたり,綺麗に細工してデコレーションとしたり,プレゼンテーションの演出に用いたりと非常にユニークであり,思いもよらぬ新聞紙の使いように審査員の方々も驚かれていたようである.

今回のコンテストでは,部門別に表彰されるためもあってか,高さのみに特化させたタワー(写真−3)や,一旦綺麗に作製したタワー周面を造形した芸術性重視のタワー(写真−4),コンセプトを持たせて作製したタワー(写真−5)等,各チームとも独自性に富んだタワーを作製していた.また,事前に作成したイラスト用いてプレゼンテーションを行ったチーム(写真−6)もあり,コンテストの随所で参加者の豊かな創造力を垣間見ることができた.

 

写真−3 最も高く作製されたタワー

写真−4 落花生型に作製されたタワー

        

写真−5アクアラインの構造物である「風の塔」 をコンセプトにしたチーム 
写真−6 イラストを用いたプレゼンテーション

コンテスト終了後は直ちに表彰式が行われ,ソイルタワー値部門,Highest Tower部門,Artistic部門各1と総合1位のチームが発表され表彰された(写真−7).第2回ソイルタワーコンテスト入賞チームは表−2に示すとおりである.表彰式後に行われた懇親会では参加者同士の交流も盛んに行われた.

写真−7 表彰式の様子

 

表−1 入賞チーム一覧

順位

学校名

総合 1位

和歌山工業高等専門学校

総合 2位

木更津工業高等専門学校

総合 3位

日本大学

ソイルタワー値部門賞

和歌山工業高等専門学校

Highest Tower部門賞

東京大学

Artistic部門賞

日本大学

昨年度の初回に引き続き開催された第2回学生対抗ソイルタワーコンテストには,昨年度より3校多い8校の参加があり,そのうち2高専2大学が初参加であった.今後は若手技術者・学生の交流・学会活動参加の機会を広めるためにもこのような学生会員を主体とした学会行事が,広く定期的に行われることに期待する.

なお,本コンテストの運営には,日本大学理工学部社会交通工学科地盤工学研究室および武蔵工業大学都市基盤工学科地盤環境工学研究室各位の協力に寄るところが大きい.また,前田建設工業(株),基礎地盤コンサルタンツ(株),住友大阪セメント(株),中央工営(株),東電設計(株),には開催に際して多大な協力を得た.末筆ではありますが,ここに記して謝意を表します.