地盤工学会.jpg


 支部長就任にあたりご挨拶を申し上げます。
 関東地方には種々の地盤が存在し、かつ地震や豪雨などの災害を受け易い環境にあり、地盤工学上多くの課題を有しています。関東平野を囲む山地では斜面崩壊が発生し易く、戦後都市の近郊の丘陵に多く造成されてきた住宅団地では、地震や豪雨による宅地地盤の被害が懸念されています。関東平野は多くの河川によって形成されているため、豪雨時の湛水や洪水被害を各地で受け易い状況にあります。また、広大な沖積低地には各地に軟弱地盤が存在し、地震時の揺れによる被害などを受け易い状況にあります。さらに、東京湾沿いに造成されてきた広い埋立地では、2011年東日本大震災で受けたような液状化による被害の再発の可能性があります。
 関東地方では2020年の東京オリンピックを迎えるための準備や、戦後多く造られた諸施設の老朽化に対し、各地で都市の改造が進められています。改造にあたっては地盤工学上複雑な課題が出てきています。構造物が密集する既成の大都市を改造していくためには、正確で詳細な地盤情報や、高度な解析のための高レベルな地盤データが必要で、昔は考慮されていなかった土壌汚染にも十分に留意する、といったことが必要です。
 さらに、我が国の総人口の約1/3を擁し中枢機関が集中する関東地方は、社会的に最も重要な地方であることは誰もが認めるところです。このような関東地方を担当する地盤工学会関東支部の社会へ果たす役目は大変重要です。本部や他支部と連携をとりながら、その方向性を見極め、活動していく必要があります。
 さて、今年度は関東支部が発足して14年目になります。支部の活動をゼロからスタートし諸活動を展開されてこられたこれまでの支部の執行部の方々に、まず敬意を表したいと思います。現在ではニューズレターの発行、支部発表会・各種講演会・見学会・学生対校コンテスト・ジオ散歩の開催、研究委員会での研究、自治体などへの講師の派遣、と多くの活動が行われています。今後もこれらを継続するとともに、新しい魅力的な活動も付け加えていければと思っています。支部会員の皆様からも是非新しい企画をご提案いただければ幸いです。これらを通して、会員の皆様の役に立ち、「地盤工学会の会員になっていて良かった」、「関東支部所属で良かった」と言える支部にしていきたいと思います。
 地盤工学はインフラの整備や防災対策などの公共事業へ果たす役目が大きいのは勿論ですが、さらに地域の住民の方々の生活を守る役目も大切です。各県グループの方々などのご尽力により、講演会や講師の派遣を行って地域社会に貢献してきていますが、このような活動を行っていることをさらに社会にアピールし、地域社会からの要望も聞いて活動を推進していく必要があります。そのために国、自治体、マスコミなどとの連携をさらに深めていきたいと思います。
 このように活動を活発化していくのが理想的な姿ですが、諸活動を担当されていらっしゃる方々の負担が増えては困ります。また、低成長が続く世の中で、しかも少子化も影響して地盤工学会全体および関東支部の財政が苦しい状況にあり、諸活動を十分に出来ない状況になっています。これらが最大の課題かと思いますので、地域社会に関東支部の重要性を訴えつつ、対応策を考えていきたいと思っています。とは言っても私自身関東支部の運営に関してまだ分かっていないことが多々あります。皆様のお力をお借りしまして支部長を務めていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。

yasuda_shibuchouver2.jpg
地盤工学会 関東支部長
 安田 進